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「黒塗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黒塗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
何になりましょう? あの自動車を御覧なさい。ええ、あの公園の外にとまった、大きい黒塗りの自動車です。漆《うるし》を光らせた自動車の車体は今こちらへ歩いて来る白の....
少年」より 著者:芥川竜之介
二弦琴《にげんきん》の師匠《ししょう》も。……」 ランプの光は鮮《あざや》かに黒塗りの膳《ぜん》の上を照らしている。こう云う時の膳の上ほど、美しい色彩に溢《あ....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
――では人殺しを働いたのは、この多襄丸に違いございません。革《かわ》を巻いた弓、黒塗りの箙《えびら》、鷹《たか》の羽の征矢《そや》が十七本、――これは皆、あの男....
婦系図」より 著者:泉鏡花
取ったばかり、くびれるほど固く巻いた扱帯に手拭を挟んで、金盥をがらん、と提げて、黒塗に萌葱の綿天の緒の立った、歯の曲った、女中の台所|穿を、雪の素足に突掛けたが....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
照々して間数十ばかりもござりますのを、牛車に積んで来て、背後に大な森をひかえて、黒塗の門も立木の奥深う、巨寺のようにお建てなされて、東京の御修業さきから、御子息....
南地心中」より 著者:泉鏡花
を堰いたよう、見渡す限り列のある間、――一尺ごとに百目蝋燭、裸火を煽らし立てた、黒塗に台附の柵の堤を築いて、両方へ押分けたれば、練もののみが静まり返って、人形の....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
。あとへ続くと、須弥壇も仏具も何もない。白布を蔽うた台に、経机を据えて、その上に黒塗の御廚子があった。 庫裡の炉の周囲は筵である。ここだけ畳を三畳ほどに、賽銭....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の髪の艶に月の影の冴えを見せ、うつむき加減の頤の雪。雪のすぐあとへは惜しいほど、黒塗の吾妻下駄で、軒かげに斜に立った。 実は、コトコトとその駒下駄の音を立てて....
黒百合」より 著者:泉鏡花
雨上りの後だから。」 「いいえ、」といいながら勇美子は立って、室を横ぎり、床柱に黒塗の手提の採集筒と一所にある白金巾の前懸を取って、襟へあてて、ふわふわと胸膝を....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
りと半分、床の間をがたりと遣ると、何か提げた、その一腰、片手に洋燈を翳したので、黒塗の鞘が、袖をせめて、つらりと光った。 「危い、貴郎、」 「大丈夫だ。」 「い....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
から御殿まではどの位ありましょうか、よほど遠かったように思われます。御殿の玄関は黒塗りの大きな式台造り、そして上方の庇、柱、長押などは皆眼のさめるような丹塗り、....
銀座は昔からハイカラな所」より 著者:淡島寒月
即ち舶来品でした。ですから数はたった二台しかありませんでした。馬は四頭立で車台は黒塗り、二階は背中合せに腰掛けるようになっていて梯子は後部の車掌のいる所に附いて....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
の紋づくしと見れば可い。 天人の舞楽、合天井の紫のなかば、古錦襴の天蓋の影に、黒塗に千羽鶴の蒔絵をした壇を据えて、紅白、一つおきに布を積んで、媚かしく堆い。皆....
三枚続」より 著者:泉鏡花
るから、番号も遠慮もない、愛吉は四辺構わず、 (おう、柴田さん、この、診察所、と黒塗の板に胡粉で書いてある、この札をどうかしておくんなさいな。横ッちょに曲って懸....
式部小路」より 著者:泉鏡花
、はらはらとこの月の前を通り去った折からである。 橋の中央に、漆の色の新しい、黒塗の艶やかな、吾妻下駄を軽く留めて、今は散った、青柳の糸をそのまま、すらりと撫....