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黒布
「黒布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
おそるおそる伝六が近よって、こわごわ覆面をはいでいたようでしたが、と――果然、
黒布の下から、妖々《ようよう》として現われ出たものは、まだ二十六、七歳のあだめか....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
く、子の刻近くなっても、物音人声などが外へきこえる家が多かった。 六人は、銘々
黒布をもって、覆面をした。成田邸は、淋しい馬責場を前に控えた五番町にあった。 ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
人物こそ、恐るべき殺人犯の吸血鬼なのであろう。 「案外智恵のない男だねえ――」と
黒布の人物は皺枯れ声でいった。皺枯れ声だったけれども、確かに女性の声に紛れもなか....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
い切布をかぶったものがまるで自ら動きでもしたように捲かれてきた。そのとき妾はその
黒布の下に、また別な紅いリボンがヒラヒラしているのを逸早く見てとったものだから、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ていったが、やがて、彼の顔に爽かな色が泛んだと思うと、「これだ」と云って、簡素な
黒布装幀の一冊を抜き出した。見よ、法水の双眼には、異常な光輝が漲っているではない....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
面に据えてある。洋服の若い男が坊さんと相対して座って居る。医者であろう。左の腕に
黒布を巻いた白衣の看護婦の姿が見える。
「看護婦さんも、癒って帰るじゃ帰り力があ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ていたが、これはふたたび女生徒に担がれて講堂入口の方へ搬ばれた。 この劇では、
黒布で蔽われたシーザーの棺桶は、講堂の入口から、壇の下まで搬ばれる、そこにはアン....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
とは客が寄ろうも知れぬ。店一杯に雛壇のような台を置いて、いとど薄暗いのに、三方を
黒布で張廻した、壇の附元に、流星の髑髏、乾びた蛾に似たものを、点々並べたのは的で....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
った。 行燈が化けると云った、これが、かがみのつもりでもあろう、が、上を蔽うた
黒布の下に、色が沈んで、際立って、ちょうど、間近な縁台の、美しい女と向合せに据え....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
と効果的に対照してちょっと美術的な舞台面だった。全部、言うまでもなく顔ぜんたいを
黒布の仮面で覆って、眼と鼻のさきと口だけ出している。 アンリ親分が立って、端か....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いる。心の神秘の上に掛かってた帷《とばり》はみな引き裂かれている。ラトラン聖殿の
黒布をまとった一ソフォクレスによって簡潔に言われた事柄が、今日では、真裸な姿を見....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
にねる。いろいろの香料で洗顔し、全身の皮膚を洗い、最後に油をぬってマッサージして
黒布で顔を覆い、全身を覆う。器に香料をたいて、これをささげた黒人の男と女が四囲を....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
過ごしていた。お島に病気が起こる頃であった。見ればカランスは両手をもって、大きな
黒布を持っていた。あのスペインの闘牛師が、闘牛に向かって赤い布を、冠せようとして....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
に見えぬ糸で縛り上げられたごとく、一寸も動く事が出来ず、目の前には恐ろしい幻影、
黒布に覆われた物凄い棺桶、湯棺に代る最後の化粧、悲惨な断頭台の断末魔の光景がそれ....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
。じゃ青島、実物でやって見せるよりしかたがない、あれを持ち込もう。 花田と青島、
黒布に被われたる寝棺をかつぎこむ。 とも子 いや……縁起の悪い…… 沢本 全く....