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黒影
「黒影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒影の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
り、疾風のごとく馬車のかたわらを掠《かす》めて、瞬《またた》く間《ひま》に一点の
黒影となり畢《おわ》んぬ。 美人はこれを望みて、 「おい小僧さん、腕車《くるま....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
して、星のみひややかに冴《さ》え渡れり。美人は人ほしげに振り返りぬ。百歩を隔てて
黒影あり、靴《くつ》を鳴らしておもむろに来たる。 「あら、巡査《おまわり》さんが....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
斜になげかけている町角をヒョイと曲るたびに、 「ソレあすこだ!」 と、怪青年の
黒影が、ぱッと目に入るだけだった。私達と弥次馬とは、ずっと間隔ができてしまった。....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
と気をつけて見るなれば、その空樽を支えた壁体の隅が縦に裂けて、その割れ目に一つの
黒影が滑りこんだのを認めることができたであろう。 そこは隠されたる秘密階段で、....
「地球盗難」より 著者:海野十三
のであった。 邸内では愕いたものか、裏門の潜り戸がギイッと明いて、中から一つの
黒影が飛びだしてきた。その
黒影は潜り戸の傍を離れてだんだん通りの方へ出てきた。出....
「地球要塞」より 著者:海野十三
う。 映写幕のうえの艦影《かんえい》は、刻々に大きくなってくる。 その三点の
黒影は、ぽつぽつぽつと並んでいたと思うと、しばらくすると、どっちからともなく寄っ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
主)美女。博士。 女房。侍女。(七人)黒潮騎士。(多数) 森厳藍碧なる琅※殿裡。
黒影あり。――沖の僧都。 僧都 お腰元衆。 侍女一 (薄色の洋装したるが扉より出....
「怪塔王」より 著者:海野十三
がつきました。 「あっ、あれは何だ。鯨か?」 眼をしきりにぱちぱちやって、この
黒影を見ていた兵曹長の頬に、さっと血の色がわきました。 「あっ、あれゃ島だ! 島....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
湧きあがる。 逃げそこねた隊員は、最後の力をふりだして、滑る甲板をよじのぼる。
黒影が一つ、また一つ、氷上にとびだしてゆく。 「もういないか、誰だ、残っているの....
「流線間諜」より 著者:海野十三
遁がすな、殺してしまえ!」 覆面のない十数名の団員はてんでに喚きながら、怪しき
黒影の上に殺到していったが、あらあら不思議、どうした訳か分らないが、彼等は拳を勢....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
うにあっちへ抜けこっちへ現れている一つの黒装束! それに追い縋るようにまた別の
黒影――それこそ旗本のうちに剣をとらせては及ぶものなしと云われたる花婿権四郎だっ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
出て、大氷原の上を照らしたので、わたしは氷原を横切って非常の速力で走ってゆく彼の
黒影を、遙かに遠いあなたに認めた。これが、彼に対するわれわれの最後の一瞥であった....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
と思った時、掛け声もなく、スーッと何物か突き出した。キラキラと光る! 槍の穂だ!
黒影、槍を突き出したのである。 「あぶない!」 と思わず叫んだが、「何者!」と....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
見よ! 見よ! 断雲の絶間より、幽霊火のごとき星の照らす甲板上には、今しも一団の
黒影入り乱れて闘いおるなり、人数およそ二十人ばかり、我が帆船の水夫のみにはあらず....
「ろくろ首」より 著者:小泉八雲
した。夜は美しかった。空には雲もなく、風もなかった。強い月光は樹木のはっきりした
黒影を投げて、庭の露の上に輝いていた。きりぎりすや鈴虫の鳴き声は、騒がしい音楽と....