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黒松
「黒松〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒松の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
外に二つの屍体を、手に入れることが出来ました。二人とも療養所の入院患者で、一人は
黒松重五郎という五十男で稀しい松果状結節癩。もう一人は、これがアディソン病という....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
のを、万力は背中に負って、回向院前の自宅へ帰りました。 万力は男世帯で、家には
黒松という取的がいるだけです。その
黒松に手伝わせてお俊の首を斬り落とし、死骸は床....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
は、去年のままの暗い緑を、さも物憂そうに顫わせた。 今、一陣の※、榛木、赤松、
黒松。――嵐の進路にあるほどのものは、洗礼を免れることは出来なかった。谷から岩を....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
ちゃんと、五六本の松茸を手籠にむしり取って、小笹が生いしげった、暗い繁みや、太い
黒松のかげに、息をひそめてかくれていた。 「餓鬼らめが、くそッ! どこへうせやが....
「蟇の血」より 著者:田中貢太郎
らずに台地の方へ爪さきあがりの赭土を踏んであがって往った。 そこには古い大きな
黒松があってその浮き根がそこここに土蜘蛛が足を張ったようになっていた。彼は昨日も....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
を実見したあとで帝劇へ行って二階の休憩室の窓からお堀の向こう側の石崖の上に並んだ
黒松をながめてびっくりした。これらの松の針葉はあの塩風にもまれてもちっとも痛まな....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
して、私にとっては忘れがたい土地なのだ。 山は一面に松林で蔽われている。赤松と
黒松との程よい交錯。そこでなければ味われない肌理の細かい風の音と、健康を喚び覚さ....
「嵐」より 著者:寺田寅彦
のが一つある。 宿の裏門を出て土堤へ上り、右に折れると松原のはずれに一際大きい
黒松が、潮風に吹き曲げられた梢を垂れて、土堤下の藁屋根に幾歳の落葉を積んでいる。....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
空を見つめながら言った。 一心橋から二丁ほど北に行ったところに、とくべつ大きい
黒松が根をはっており、その根の一部をそぎおとして、流れの方に斜めに道がついている....
「怪人の眼」より 著者:田中貢太郎
まった径を登って、聳え立った大岩の上へ出たところで、ふと見ると、直ぐ上の方の高い
黒松の梢に一羽の大|鶴がとまっていた。 「おう、鶴がおるぞ」 丹治の眼は思わず....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
色であるかも知れないと思う。それに連なって裾野の方へ、緑に広く布いてみえるのは、
黒松の林ではないであろうか。 しかし、ひとたび深い雲を催せば、雨がくるのではあ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
す。 「これがほんの水入らず、にい。そういえば、お対手は、姪、尼でもや、酒だけは
黒松の、それも生一本やで、何と、この上の町、ここでの名所、一本松というてもいいや....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
ら北に走る国境山脈は、三俣山(千九百八十米、上州方面の称呼である。支脈東に延びて
黒松岳、社山等を起し、中禅寺湖の南を限る。)でも宿堂房山でも、黒木の繁っているの....
「白っぽい洋服」より 著者:田中貢太郎
なり勾配のある傾斜面をあがっていた。街燈の燈は路の左右にある赤松のひょろ長い幹や
黒松の幹を見せていた。彼の頭にはその坂道をすこし往った処から右に折れて往く小径が....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
の影も形もないのに驚いた。 ただ、少しも変らないのは、海の向うに見える浜離宮の
黒松だけである。 私は、あの黒い松を見た瞬間に第二次「新思潮」創刊号の発禁とい....