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黒枠
「黒枠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒枠の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
ょ」と云うように腰をかがめ、砂の上の何かを拾い上げた。それは瀝青《チャン》らしい
黒枠の中に横文字を並べた木札だった。
「何だい、それは? Sr. H. Tsuj....
「あやかしの鼓」より 著者:夢野久作
布の襖《ふすま》や、つつましやかな恰好の銀色の引き手や、天井の真中から下っている
黒枠に黄絹張りの電燈の笠まで何一つとして上品でないものはない。 私は思わず今一....
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
の衰弱が祟《たた》るからのように思われる。 私の立居《たちい》が自由になると、
黒枠《くろわく》のついた摺物《すりもの》が、時々私の机の上に載せられる。私は運命....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
一枚のはがきを持て来た。彼は舌打して錨を引上げ、其はがきを受取った。裏をかえすと
黒枠。誰かと思えば、綱島梁川君の訃であった。
彼は其はがきを持ったまゝ、井戸傍....
「若い母親」より 著者:宮本百合子
の水音がしている。それをききながら、来ている手紙を一つ一つ見ていると、その中から
黒枠が出て来た。私のところは社交的なつきあいというものは少いから、
黒枠は何ごとか....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
、顔中|髭だらけで髭の中から鼻と眼がのぞいているといった方がよかった。そして太い
黒枠の眼鏡をかけていた。 「あっ、飛行機がなにか放りだした。おや信号旗らしい。は....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
こに並べてある時事写真の一つに眼を止めた。「逝ける一宮大将」とあって、太い四角な
黒枠に入っている厳めしい正装の将軍の写真だった。その
黒枠を見たとき、彼は電光の如....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
り記念碑を建てる事になったんです。」 「ははあ、和尚さん、娑婆気だな、人寄せに、
黒枠で……と身を投げた人だから、薄彩色水絵具の立看板。」 「黙って。……いいえ、....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
は十一月の末|終にこの世を辞して何国は名物男一人を失なった。東京の大新聞二三種に
黒枠二十行ばかりの大きな広告が出て門人高山文輔、親戚細川繁、友人野上子爵等の名が....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
銭仕候《まきぜにつかまつりそろ》と書いて貼り出してあるのだ。このごろは西洋式に、
黒枠をとるが、むかしは葬儀には、すべてねずみ色の紙を用いるのが、礼であった。
....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
に内緒のうちあけ話ですけれど。けさも、三時間ほどしか眠らず出かけ、かえって来たら
黒枠ハガキでね。芝の老夫人逝去されました。これから弔問です。花とお香典をもって行....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
イザは得意になって、仕着せをつけた従僕が彼あての手紙を届けてきたと話した。そして
黒枠《くろわく》のついた大きな封筒を彼に渡した。裏にはケリッヒ家の紋章が印刻して....
「小酒井不木氏」より 著者:平林初之輔
特色は是非とも必要とされるものである。 氏の創作短編集には『恋愛曲線』『疑問の
黒枠』等があり、その他これらの集におさめられていない作品も相当の数にのぼるであろ....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
服の人や駅員なども入りまじって何かと世話をしだした。やがて窓硝子に、英霊と書いた
黒枠の紙が貼りつけられた。いずれ此処の聯隊で受けとった遺骨を護りつつ、さらに奥地....