黒柿[語句情報] » 黒柿

「黒柿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黒柿の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
築土《ついじ》の上へ、影を落とす犬もない。 次郎は、腰にさした扇をぬいて、その黒柿《くろがき》の骨を、一つずつ指で送ったり、もどしたりしながら、兄と自分との関....
あらくれ」より 著者:徳田秋声
の檜《ひのき》の柱や、欄間《らんま》の彫刻や、極彩色の模様画のある大きな杉戸や、黒柿の床框《とこがまち》などの出来ばえを、上さんは自慢そうに、お島に話して聞せた....
明暗」より 著者:夏目漱石
きになっていた。津田の足を踏み込んだのは、床《とこ》のない控えの間の方であった。黒柿の縁《ふち》と台の付いた長方形の鏡の前に横竪縞《よこたてじま》の厚い座蒲団《....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
の総落《そうおと》しで、洗髪《あらいがみ》の姉御が立膝で、長煙管《ながぎせる》を黒柿《くろがき》の縁《ふち》へ叩きつける様を想見する諸君もないとも限らないが、わ....
笑う唖女」より 著者:夢野久作
この家の案内を知っているらしく、突当りの薬戸棚の硝子《ガラス》戸を開いて、旧式の黒柿製の秘薬|筥《ばこ》を取出して調薬棚の上に置いた。その中から抓《つま》み出し....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
ところへ使いにやった。 外は日盛りだったが、部屋のなかは涼しかった。庸三は床の黒柿の框を枕にしてしばらく頭を休めていたが、するうち葉子と瑠美子との次ぎの間の話....
名娼満月」より 著者:夢野久作
紙。楽焼の引手。これを開きますると八畳のお座敷は南向のまわり縁。紅カリンの床板、黒柿の落し掛。南天の柱なぞ、眼を驚かす風流好み。京中を探しましても、これ程のお座....
旅愁」より 著者:横光利一
マチスの近作がかかっていた。それと対応された黒塗の棚の陶器も、潤んだ光沢の宋窯の黒柿の壺だった。卵色の地に、とろりと溶け流れるような濡羽色の壺肌の前で、真紀子は....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ようになりましたが、産地によって硬軟の差があるようにも聞きました。また桜、黒檀、黒柿なども用いられ、胡桃なども多く使われます。これは種彫といわれます。 象牙は....
食堂」より 著者:島崎藤村
などを立て廻して、僅かにそこいらを取り繕ってある。長いことお三輪が大切にしていた黒柿の長手の火鉢も、父の形見として残っていた古い箪笥もない。お三輪はその火鉢を前....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
ましょう。柔かい桐や杉を始めとし、松や桜や、さては堅い欅、栗、楢。黄色い桑や黒い黒柿、斑のある楓や柾目の檜。それぞれに異った性質を示して吾々の用途を待っています....
春心」より 著者:田中貢太郎
(いけねえ) 広巳はそこの巷へ隠れて往った。 広栄は次の室で計算していた。黒柿の机に向って預金の通帳のような帳面を見い見い、玩具のような算盤の玉を弄ってい....