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「黒水晶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黒水晶の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
梓川の上流」より 著者:小島烏水
蒼黒い森を穿って、梓川の支流岳川は、鎌を研ぐように流れる、水の陰になったところは黒水晶の色で、岸に近いところは浮氷のような泡が、白く立っている、初めは水が流れて....
怪夢」より 著者:夢野久作
結《ゆ》って、真白に白粉《おしろい》をつけて、緑色の光りの下にチンと澄まして……黒水晶のような眼をパッチリと開いて、こころ持ち微笑《ほほえ》みを含みながら、運転....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
珍しき色白の好男子。惜しきことには、口のあたりどことなく鄙しげなるところありて、黒水晶のごとき目の光鋭く、見つめらるる人に不快の感を起こさすが、疵なるべし。こは....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
家住まい、あみだ沢は山あいに五、六軒の草葺《くさぶ》きが集《かた》まって炭焼き、黒水晶掘り、木こりにかりうど、賤機木綿《しずはたもめん》、枝朶細工《しだざいく》....
三郎爺」より 著者:宮本百合子
尺度を支えに張って、そーっと覗いた三郎は、つい身ぶるいをしてしまった。まるで黒水晶の切り口を、縦に見たように、真黒く、けれども妙にすき通るような色を持った水....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
読み終るのを待ちかねていたらしく、うつむいていた顔を上げたが、その眼は最前の通り黒水晶のように静かに澄み切っていた。けれども、その心の底に燃え上る云い知れぬ激情....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
車からは見えなかった。これらの山々から瞰下されて、乾き切っている桔梗ヶ原一帯は、黒水晶の葡萄がみのる野というよりも、橇でも挽かせて、砂と埃と灰の上を、駈けずって....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
が白山へドーンと響くと、寝ぬくまった目を覚して、蘆の間から美しい紅玉の陽の影を、黒水晶のような羽に鏤めようとする鷭が、一羽ばたりと落ちるんだ。血が、ぽたぽたと流....
丹下左膳」より 著者:林不忘
けても名うての暴れ者なのだが――。 このお蓮様の顔を前にしていると。 その、黒水晶を露で包んだような瞳のおくへ、源三郎、ひきこまれるような気がするのだった。....
叔父」より 著者:豊島与志雄
したってから……。」 伏せてた顔をふいに挙げて、じいっと見入ってきたその眼が、黒水晶のように底光りしていた。中野さんはまたびくりとして、一寸口を利きかねた。そ....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
の中にミミイ嬢のように立派なペンギン鳥は決して存在しているべきはずのものでない。黒水晶のような眼、絖《ぬめ》のように白く光る胸、しなやかな腕、ヒョイヒョイとこう....
狂女と犬」より 著者:小酒井不木
しきる赤子を抱いて、山や野原を、黒い髪を振りみだし乍ら、跣足で走りまわりました。黒水晶のように美しい、大つぶな眼をむいて、天の一方をにらみながら、先刻あなたが御....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
を着て、仕事場の神棚へ、拝をして、ただ一つ欅の如輪木で塵も置かず、拭込んで、あの黒水晶のような鏨箪笥、何千本か艶々と透通るような中から、抽斗を開けて取ろうとして....