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「黒目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黒目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
葉子の目を迎えて葉子を見つめていた。やせぎすで、痛々しいほど目の大きな、そのくせ黒目の小さな、青白い顔が、薄暗い店の奥から、香料や石鹸《せっけん》の香につつまれ....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
立田《たつた》だよ、しばらく。」 もう忘れたか、覚えがあろう、と顔を向ける、と黒目がちでも勢《せい》のない、塗ったような瞳を流して、凝《じっ》と見たが、 「あ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
で。」 「まあ、そう、」 と莞爾して、 「待ってて下すって?」と三人へ、一度に黒目勝なのを働して見せると、言合せた様に、二人まで、胸を撫で下して、ホホホと笑っ....
軍用鼠」より 著者:海野十三
て外を見ると、ストーブの温か味で汗をかいた硝子戸を透して、まるで深海の底のように黒目も弁かぬ真暗闇が彼を閉じこめていることが分った。 もう数時間すれば夜が明け....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
の。もし、気になったら、貴方ばかり目をお瞑りなさいまし。――と自分は水晶のような黒目がちのを、すっきり※って、――昼さえ遊ぶ人がござんすよ、と云う。 可し、神....
南地心中」より 著者:泉鏡花
女のような優しい眉の、右を残して斜めに巻いたは、笞の疵に、無慚な繃帯。 お珊は黒目がちに、熟と※って、 「ほんに、そう云うたら夢やな。」 と清らかな襖のあた....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
れが音に聞えた、燃るような朱の唇、ものいいたさを先んじられて紅梅の花|揺ぐよう。黒目勝の清しやかに、美しくすなおな眉の、濃きにや過ぐると煙ったのは、五日月に青柳....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
着を着かざった人がいました、でも、そのなかで目立ってひとりうつくしいのは、大きな黒目をしたわかい王子でした。王子はまだ満十六歳より上にはなっていません。ちょうど....
明日」より 著者:井上紅梅
ことを想い出した。自分は綿糸を紡いでいると、寶兒は側に坐って茴香豆を食べている。黒目勝ちの小さな眼を瞠ってしばらく想い廻らしていたが、「媽、父はワンタンを売った....
故郷」より 著者:井上紅梅
のか」 「あの水生がね、自分の家へ遊びに来てくれと言っているんですよ」 宏兒は黒目勝ちの眼をみはってうっとりと外を眺めている。 わたしどもはうすら睡くなって....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
れとはなしに、面を人に打蔽う風情が見えつつ、眉を優しく、斜だちの横顔、瞳の濡々と黒目がちなのが、ちらりと樹島に移ったようである。颯と睫毛を濃く俯目になって、頸の....
三枚続」より 著者:泉鏡花
のかい、さあ、何にしよう、これは軍の絵でございます、」と謂ってお夏は胸を反らし、黒目|勝なのを仰向くと同時に、両手で上へ差上げたが、翼の尖が鬢にかかって、 「あ....
女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
気が付いて見れば、中庭の奥が、古木の立っている園に続いていて、そこに大きく開いた黒目のような、的が立ててある。それを見た時女の顔は火のように赤くなったり、灰のよ....
雪の国と太郎」より 著者:小川未明
こなかったのだい。君は僕の家来になるといったんだろう。」 と、太郎はくるくるした黒目を光らしていいました。 その間に、甲・丙・丁などは、すきをうかがって逃げ出....
赤いろうそくと人魚」より 著者:小川未明
した。 その日から、二人は、その女の子を大事に育てました。大きくなるにつれて、黒目勝ちで、美しい頭髪の、肌の色のうす紅をした、おとなしいりこうな子となりました....