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「黒羽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黒羽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
》という剣舞の師匠だか撃剣の師匠だかする頑丈《がんじょう》な男が、大きな五つ紋の黒羽織《くろばおり》に白っぽい鰹魚縞《かつおじま》の袴《はかま》をはいて、桟橋の....
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
の文字が記してあるが、中にこんな事も書いてあった。 「明治四十三年十月二十日、黒羽《くろばね》町|万盛楼《まんせいろう》の娼妓《しょうぎ》小万《こまん》、男と....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
郎である。髪を茶筌に結った色白の美男である。下には、鼡縮緬の引かえしを着、上には黒羽二重の両面芥子人形の加賀紋の羽織を打ちかけ、宗伝唇茶の畳帯をしめている。藤十....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
まことに人の心をとろかすようなはだざわりです。その浮かれたつちまたの町を、右門は黒羽二重の素あわせに、蝋色鞘《ろいろざや》の細いやつを長めに腰へ落として、ひと苦....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の透明な光線には、(埃だらけな洋服を着換えた。)酒井先生の垢附を拝領ものらしい、黒羽二重二ツ巴の紋着の羽織の中古なのさえ、艶があって折目が凜々しい。久留米か、薩....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ぶらりとたずねて来たのは坂部|与茂四郎という浪人でした。浪人といっても、羊羹色の黒羽織などを着ているのではなく、なかなか立派な風をしていたそうです。 御承知で....
小田原陣」より 著者:菊池寛
癖である。一挙にして揉みつぶしてしまった、秀吉の得意思うべきである。此の日、下野黒羽城主大関高増に手紙をやり、 「今日箱根峠に打ち登り候。小田原表行き、急度申付....
天守物語」より 著者:泉鏡花
、一廻りあたりを照す。やがて衝と翳すとともに、美丈夫、秀でたる眉に勇壮の気満つ。黒羽二重の紋着、萌黄の袴、臘鞘の大小にて、姫川|図書之助登場。唄をききつつ低徊し....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
「お傘を」――家来どもが居並んだ処だと、この言は殿様に通ずるんだ、それ、麻裃か、黒羽二重お袴で、すっと翳す、姿は好いね。処をだよ。……呼べば軒下まで俥の自由につ....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
のお殿様ね」 「文句があるなら唐桟でも着るよ」 「いいえ、殿様と云わせたいなら、黒羽二重の紋服で、いらせられましょうとこう申すのさ」 「そういう衣装を着る時もあ....
鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
れた。つづいて、もう一方の足が、その次の段を踏んだ。これも白布につつまれている。黒羽二重の着物を着、手も足も白布で包み、口にお篠の生首を銜え、片手に手燭を持った....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
たが、肉付きはむしろ貧しい方で、そのかわりピンと引き締まっていた。着ている衣裳は黒羽二重。しかし大分年代もので、紋の白味が黄ばんでいた。横たえている大小も、紺の....
剣侠」より 著者:国枝史郎
訪下されましたか。いざまずこれへ! これへ!」 「しからばご免」と仙台平の袴に、黒羽二重の衣裳羽織、威厳を保った多四郎は、静かに部屋の中へ入って来た。 座が定....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
見てよく、紋也の耳にした講義の声はこの老儒者の唇から発せられた声と見てよかろう。黒羽二重の紋服の上に、同じ紋付の羽織をはおり、白|綸子の下着を襟からのぞかせ、白....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
く、背丈もあり、同役は著流しが常なのに、好んで小袴をはかれました。頭こそ円けれ、黒羽二重の羽織を長めに著て、小刀を腰にした反身の立姿が立派で、医者坊主などといわ....