黒鯛[語句情報] »
黒鯛
「黒鯛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黒鯛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幻談」より 著者:幸田露伴
えびす様が持っていられるようなああいう竿《さお》では赤い鯛は釣りませぬものです。
黒鯛《くろだい》ならああいう竿で丁度釣れますのです。釣竿の談《だん》になりますの....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
出した。僕らは危怪《きかい》な蛸の単調を破るべく、鶏魚《いさき》、鱸《すずき》、
黒鯛《くろだい》の変化を喜こんでまた岸に上《のぼ》った。 二十五 僕はその晩一....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
もよい。 海津は「ケエヅ」とよんでいただかねば江戸ッ児には承知が出来ず、何んだ
黒鯛の子かァ……などは少々お話にならぬ筋だ。 凡そ釣りというもの、綸を垂れて魚....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
他の臓器製薬の効能が医者によって認められるより何百年も前から日本人は鰹の肝を食い
黒鯛の胆を飲んでいたのである。 これを要するに日本の自然界は気候学的・地形学的....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ってやって来た。大変に安くて捕り立てであるのでうまい。或る時私どもはこのノジから
黒鯛を買って俎板で割くと、その腹から糞が出て来て、大弱りをした。
黒鯛は他の魚より....
「お父さん」より 著者:林芙美子
ったでしょう、さア、どうぞ――」お客さまの声はきこえない。 「まア、大きいお魚、
黒鯛ですわね」 おかあさんの声。お魚を持ってきたのかしら。こんなにおそくお魚を....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
でいるので、子供まじりに何だかだというのは却ってよいかもしれません。紀というのは
黒鯛釣りに夢中です。太郎がそれにくっついてゆく。私やああちゃんは、赤子《アカコ》....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
部の響は何割活かされているかということを。よくて? 国府津の海ではそと海らしく
黒鯛なんかが釣れます。けれどもあすこはいつも沖ね。ほんの夏の一時期のようです、釣....
「環礁」より 著者:中島敦
珍しいことはないのだが、この時ほど、万華鏡のような華やかさに打たれたことは無い。
黒鯛《くろだい》ほどの大きさで、太く鮮やかな数本の竪縞《たてじま》を有った魚が一....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
仕入れてございます。鰈の煮付、鯒ならば洗いにでも出来まする。そのほか海鰻の蒲焼に
黒鯛の塩焼、鰕の鬼殻焼」 「まるで品川へ行ったようだな」 「はい、みな品川から夜....
「想い出」より 著者:佐藤垢石
、松林のこんもりとした酒匂村の海岸に過ごしたことがある。炎天を、毎日海辺の川尻の
黒鯛釣りやはや釣りに専念して、第一年の夏は終わったのであったが、第二年は六月のは....
「すっぽん」より 著者:佐藤垢石
たことがない。殊に爽涼が訪れてきてからは、東京湾口を中心とした釣り場であげた鯛、
黒鯛、やがら、中|鱸などの膾、伊豆の海の貝割りのそぎ身と煮つけ、かますの塩焼きな....
「春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
ろであったと思う。八月の炎暑の午後、相州小田原の傍らを流れる酒匂川の川尻で、私が
黒鯛を釣っていると、そこへ五十歳前後の釣り師がきて、私と並んで釣りはじめた。どう....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
く昼となくいつも二、三百人の釣り客が竿と糸とを操っている。これから次第に秋深み、
黒鯛の当歳子と鯔の釣季に入れば、銀座の石畳の道を彷彿とさせて壮観であるそうだ。千....
「水の遍路」より 著者:佐藤垢石
湊、大貫、竹岡には数多い遊漁船があって、四季いつでも釣れる魚がいる。鯛、鱸、鰈、
黒鯛など、婦人が行っても釣ることができる。安房の南端|布良の釣遊は豪壮であった。....