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黙然
「黙然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黙然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
みはおぬしの身に覚えがあるだろう。」
浄観《じょうかん》は大きい目をしたまま、
黙然《もくねん》とただ伝吉を見上げた。その顔に現れた感情は何とも云われない恐怖《....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
、実はこんな理由があったのである。
この点において、思想的に臆病だった馬琴は、
黙然として煙草をふかしながら、強《し》いて思量を、留守にしている家族の方へ押し流....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
《うしろ》にしたまま、相手の指の一本ないのさえ問い質《ただ》して見る気力もなく、
黙然《もくねん》と坐っているよりほかはなかった。
(大正八年六月)....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
、――そんな事を手短《てみじか》に話しました。が、甚内は不相変《あいかわらず》、
黙然《もくねん》と口を噤《つぐ》んだまま、冷やかにわたしを見ているのです。わたし....
「影」より 著者:芥川竜之介
うなら。」
受話器を置いた陳彩《ちんさい》は、まるで放心したように、しばらくは
黙然《もくねん》と坐っていた。が、やがて置き時計の針を見ると、半ば機械的にベルの....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
らしい気がした。同時にまた無気味《ぶきみ》な心もちもした。Sさんは子供の枕もとに
黙然《もくねん》と敷島《しきしま》を啣《くわ》えていた。それが自分の顔を見ると、....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
い。――そう云う消息《しょうそく》に通じている洋一は、わざと長火鉢には遠い所に、
黙然《もくねん》と新聞をひろげたまま、さっき田村《たむら》に誘われた明治座の広告....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
の祈祷していることは直《ただち》にそれと察せられたらしい。女は神父を眺めたまま、
黙然《もくねん》とそこに佇《たたず》んでいる。
堂内は不相変《あいかわらず》ひ....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
保吉 いや、ただ夫は達雄の来た時に冷かに訪問を謝絶《しゃぜつ》するのです。達雄は
黙然《もくねん》と唇《くちびる》を噛んだまま、ピアノばかり見つめている。妙子は戸....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
数馬には厳に過ぎたのでございまする。」
三右衛門はまた言葉を切った。が、治修は
黙然《もくねん》と耳を傾けているばかりだった。
「二人は正眼《せいがん》に構えた....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
まるで破れた船のように、空しく騒ぎ立つ波に臨んだまま、まっ白に落す豪雨を浴びて、
黙然《もくねん》と坐っているよりほかはなかった。
天はいよいよ暗くなった。風雨....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
下《おろ》した。騎兵はまた刀《とう》を振り上げた。が、髯《ひげ》のある支那人は、
黙然《もくねん》と首を伸ばしたぎり、睫毛《まつげ》一つ動かさなかった。……
将....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
しはとうとう御話|半《なか》ばに、その場へ泣き沈んでしまいました。御主人は始終|
黙然《もくねん》と、御耳を傾けていらしったようです。が、姫君の事を御聞きになると....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
つ》をしてから、黄一峯《こういっぽう》の画《え》に対しました。そうしてしばらくは
黙然《もくねん》と、口髭《くちひげ》ばかり噛《か》んでいました。
「煙客先生《え....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
しかったら、一刻も早く返答しろ」と言うのです。 しかし杜子春は老人の言葉通り、
黙然と口を噤んでいました。 「返事をしないか。――しないな。好し。しなければ、し....