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「黙視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黙視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
よう》をうたって、私の宅の前を通るものさえございます。私として、どうして、それを黙視する事が出来ましょう。 しかし、私が閣下にこう云う事を御訴え致すのは、単に....
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
れいしょ》を炉の灰に埋めて焼いて、四、五の作男と一緒にたべた。一日わが孤立の姿、黙視し兼ねてか、ひとりの老婢《ろうひ》、わが肩に手を置き、へんな文句を教えて呉れ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いたというのに、それほどの奇怪至極な秘密を聞き知って、われらの義人むっつり右門が黙視のできる道理はないはずでしたから、凛《りん》として言い放ちました。 「よしッ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、一路重慶へもちこむ新援蒋ルートだ。 折竹は、木戸からその報を得たとき、これは黙視できぬ、と考えた。といってそこは、万嶽雲にけむる千三百キロのかなたである。彼....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
のうえに落ちた。滝人はしばらく動悸《どうき》を押さえ、死の番人のように、その顔を黙視していた。が、やがて眼が微光の眩《ひらめ》きに慣れるにつれて、それが疑いもな....
もの思う葦」より 著者:太宰治
ころ行くところ、すべて人物|月旦はなやかである。 作家たるもの、またこの現象を黙視し得ず、作品は二の次、もっぱらおのれの書簡集作成にいそがしく、十年来の親友に....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
とすればだ。もし今殺人事件の為に伊達が非常に危険な状態に陷るとすれば、彼女は必ず黙視してはおられない。少くも自分が脅迫状を送つた、という事実を云わなければ伊達正....
丹下左膳」より 著者:林不忘
れな母娘《おやこ》が人柱などという、荒唐無稽な迷信の犠牲にならんとしているのを、黙視するには忍びない。 したがえてきた部下三人に、すばやく耳うちをした伊賀の暴....
稲生播磨守」より 著者:林不忘
。 郁之進 その友情があったら、何も言わんでくれと頼んでおるのだ。 森 しかし、黙視するに忍びんから――。 郁之進 黙視できぬ? では、森に訊こう。どうしたらよ....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
て、正々堂々と、公庁が対決的討論をなさんことを申しいどんだ。 これは憂国の至情黙視しておられなかったのであるが、また彼の性格の如何に激烈で、白熱的であるかを示....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
少し頂戴よ』『頂戴よ』と哀願するのに、氏はそれを与えることが出来ない。私はこれを黙視するに堪えず、幸いいま自分には暇があることでもあり、少しでも孤児院のために義....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
あまり花をも欺く麗容もあたら夜半の嵐に散り失せぬべきほどの容体となりぬ。その様を黙視するに忍びず、一身を賭して博士の生死を探らんその報酬として運よく探りあてたる....
剣侠」より 著者:国枝史郎
郎の恋女であった。だからその澄江を馬飼の長、嘉門如きが穢そうとする、何のむざむざ黙視出来ようぞ! そこで奪って逃げたのであり、遁れて知己の農家に隠匿い、今日まで....
南国太平記」より 著者:直木三十五
れがよし、斉興公よりの御上意にしても、主君をしてその孫を失うの不義をなさしめて、黙視するとは、その罪、悪逆の極じゃ。諫めて容れられずんば死す。兵道に尚《とうと》....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
を絶ってしもうてその影すらも見ることが出来ない。これ実に仏陀及び祖師に対し我々が黙視するに忍びないことである。どうかインドの国へ仏教を布きたいものである」という....