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「黙読〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黙読の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
が、いや、ほんとうは私の名が、おおきく書かれていた。雪は、溜息《ためいき》ついて黙読をはじめた。私は、机のそばに坐って、ひっそりと机に頬杖つき、わが愛読者の愛す....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
に漣子《れんし》どの、巣林《そうりん》より、さて近松様からの書状じゃ。(口の中に黙読する、最後に至りて声を上げる)こんどの狂言われも心に懸り候ままかくは急飛脚を....
パンドラの匣」より 著者:太宰治
元、枕元。」と小声で言った。 竹さんは枕元の回覧板を見て、手に取り上げ、ざっと黙読してから、 「これ、貸してや。」と落ちついた口調で言ってその回覧板を小脇には....
正義と微笑」より 著者:太宰治
氏は、僕にテキストを手渡して、そうして朗読すべき箇所を鉛筆で差し示した。「一ぺん黙読して、自信を得てから朗読して下さい。」なんだか意地の悪い言い方だ。 僕は黙....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
これが遺書の大意であった。 で、ある日葉之助は北山方を訪れた。 一通り遺書を黙読すると北山は静かに眼をとじた。 「弓之進殿は悪いことを書いた」やがて北山はこ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
深々と被《かぶ》っていました。その眼をじっとお銀様がお御籤の紙上に注《そそ》いで黙読しているのを、お君は傍から覗いていました。お君にはその文字は読むことができな....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ると考えざるを得ないで、そうして徐《おもむ》ろに酔眼をみはって、一応、右の絶句を黙読してから、さて、朗々として得意の吟声を試み出でようとしました。 高閣崚※ト....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
くものは、文武を励まねばならぬというので、不寝番でも読書することは許された。尤も黙読である。また寒中は火鉢を置くことを許されたのみならず、ちょっとしたドテラ見た....
俊寛」より 著者:倉田百三
見るがよかろう。(赦文を康頼に渡す) 俊寛 康頼殿。早く見てください。 康頼 (黙読し、成経に渡す) 俊寛 成経殿。わしの名は? 成経 (黙読し、俊寛に渡す) ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
が参る」 と、云って、小太郎が降りて行った。八郎太は、友喜礼之丞からの手紙を、黙読してしまうと、大きく、肩で呼吸をした。小太郎が入って来て 「友喜の小者で、怪....
歌の口調」より 著者:寺田寅彦
ある一つの歌を一遍声を立てて、読み下した後に、今後は口をむっと力を入れてつぶって黙読してみるといい。あるいはもっと面白いのは口を思い切ってあんと開いて黙唱してみ....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
歌のお弟子でした。 西氏が前に家塾育英舍を開かれた時の通規に、「読書はなるたけ黙読せよ。昼日は時ありて朗読すとも可なり。唯隣座の凝念思索の妨をなすことを得ず」....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
自分に構わず開いて頂戴。「猫」は出来れば此方から上げます。一体文章は朗読するより黙読するものですね。僕は人のよむのを聞いていては到底是非の判断が下しにくい。いず....
書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
ジャナリズムの舞台として、雑誌は新聞に近き性質のものです。机上に置いて玩味し、黙読し考うるのは、むしろ書物そのものが持つ特性でありましょう。私などどうしても、....
かもめ」より 著者:神西清
ナ それ、なんですの? アルカージナ モーパッサンの『水の上』よ。(二、三行ほど黙読する)ふん、あとはつまらない嘘っぱちだ。(本を閉じる)わたし、なんだか気持が....