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「黙黙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黙黙の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蟇の血」より 著者:田中貢太郎
て腰をかけながら下流の方を見た。薄い鈍い陽の光の中に釣人達は絵に画いた人のように黙黙として立っていた。彼はさっきの女のことをちょっと思いだしたので、見なおしてみ....
微笑」より 著者:横光利一
ずに答えた。そのとき、また一人の佐官が梶の傍へ来て坐った。そして、栖方に挨拶して黙黙とフォークを持ったが、この佐官もひどくこの夕は沈んでいた。もう海軍力はどこの....
旅愁」より 著者:横光利一
ンを飲んだ。マネージャーは一同の笑いさざめいているときでも、一片の笑顔も見せず、黙黙と現れ、細心の注意をもって氷の中のシャンパンの面を廻しては皿を積んでまた姿を....
夜の靴」より 著者:横光利一
、お暑う。」と云って、軽く頭を下げたきりだった。 横にいた別の兵士はどこまでも黙黙として一語も発せず、笑いもしなかったが、彼の降りる停留所まで来たとき、ぎっし....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
るかと内心気がかりでならなかった。が、若い二人の土工は、前よりも腰を起したぎり、黙黙と車を押し続けていた。良平はとうとうこらえ切れずに、怯ず怯ずこんな事を尋ねて....
七重文化の都市」より 著者:野上豊一郎
他所者《よそもの》が一ぱいに詰まって采配を振り、家付の無能な子供たちは裏の菜園で黙黙として土いじりをしていたり、気抜けのした別の子供たちは穴倉に追いこめられて『....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
る。しかも舞台ではシンミリした場面で一同息をのんで声の低い独白まで聞こえてくる。黙黙として、沈静。 婦人は身を椅子に支えつつ、怖れと駭きの眼を見開いて両者の挌....
夜の構図」より 著者:織田作之助
信吉は娘の前へソーダ水を置いた。娘は信吉の前へ珈琲を置いた。 そして暫くお互い黙黙として飲んでいたが、やがて娘は思い切ったように、 「失礼ですが、ここにお泊り....
五重塔」より 著者:幸田露伴
き口説けど、先刻より無言の仏となりし十兵衛何ともなお言わず、再度三度かきくどけど黙黙としてなお言わざりしが、やがて垂れたる首を抬げ、どうも十兵衛それは厭でござり....
澪標」より 著者:外村繁
の部落がありますのよ」 「そうか」 坂道は緩い傾斜で、道幅もかなり広い。義弟は黙黙と馬を引いて行く。単調な車輪の音が私の耳に響き続ける。しかし徐徐に、小学校の....
藍瓶」より 著者:田中貢太郎
燈のすくない街は暗かった。父親は二人の後からとぼとぼと体を運んでいた。 三人は黙黙として歩いた。郊外線の電車の線路には電燈がぼつぼつ点いていた。三人は踏切を越....
仙術修業」より 著者:田中貢太郎
駈け走った。そして、朝霧のかかった谷川の岸に出てそこで衣を脱いで行水をやった。皆黙黙として何人も一|言を発する者がない。彼も同じように冷たい氷のような行水をした....
宇賀長者物語」より 著者:田中貢太郎
ばかり往ったところで、小さな野川の水が微白く現われました。川の縁には一軒の苫屋が黙黙として立っておりました。壮い男はその前に立って、どうして川を越したものかと考....
わが町」より 著者:織田作之助
今日いちにちは命を拾ったという想いに夜が明けると、もう仇討に出る気持めいてつよく黙黙と、鶴嘴を肩にした。鉛のように、誰も笑わず、意地だけで或る者は生き、そして或....