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黴臭い
「黴臭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黴臭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
開いて見たが、下の隅に着物を丸めて突込んだと云う様な一塊がある。取り出すと非常に
黴臭いが、確かに女の着物で、是も二三種は有る様だ。先ず別々に取り分けたが、其の内....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、台所につづく六畳の暗い一と間だけには破れた琉球畳が敷かれていて、湿っぽいような
黴臭いような匂いが鼻にしみついた。半七は腹這いになって古畳の匂いをかいだ。 「松....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
たのだった。だから妾はすぐさまそのトランクを開いてみる決心をして、貞雄を案内して
黴臭い土蔵の中に入っていったのであった。 9 貞雄の云ったことは正に....
「食魔」より 著者:岡本かの子
が深い芸術なるものを通して何かあるとは感づかせられた。しかし今更、宗教などという
黴臭いと思われるものに関る気はないし、そうかといって、夫人のいったまこととかいう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
えてしまうと、論争一過後の室は、ちょうど放電後の、真空といった空虚な感じで、再び
黴臭い沈黙が漂いはじめ、樹林で啼く鴉の声や、氷柱が落ちる微かな音までも、聴き取れ....
「骨董」より 著者:幸田露伴
っては、学問が深くなれば是非骨董の世界に頭を突込み手を突込むようになる。イヤでも
黴臭いものを捻くらなければ、いつも定まりきった書物の中をウロツイている訳になるか....
「窃む女」より 著者:黒島伝治
などへは持って行った記憶がないのを十分知っていながら、単なる気持を頼って、暗い、
黴臭い物置きへ這入って探しまわった。 「あんた、私の留守に誰れぞ来た!」 おず....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
まりいいお天気でもありませんな」と、僕も相槌を打った。 「こういうのを、わたしは
黴臭い天気と言っていますがね」と、船医は得意そうに言った。 「ときに、ゆうべは馬....
「西瓜」より 著者:岡本綺堂
手伝ってすぐにその古本をひき寄せて見ると、なるほど二百年も前のものかも知れない。
黴臭いような紙の匂いが何だか昔なつかしいようにも感じられた。一冊は半紙廿枚綴りで....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
! おい大将! そこでゆっくり休むがいい。もっとも少し暗いけれどな。そうして少し
黴臭いけれどな。アッハハハゆっくり休みねえ。けれどあらかじめ云っておくがな、あん....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
ていなかった。他の二人は途中のそれぞれの目的地で下りてしまっていたからだ。馬車の
黴臭い内部は、その湿っぽい汚れた藁と、不愉快な臭気と、薄暗さとで、幾らか、大きな....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
君がそれほど貪るように吸収したそんな妄想が、千年も前のもので、古いだけにそれだけ
黴臭い、ということを、知らしてくれるだけの親切をもちあわせた人が、一人も居なかっ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
」 「そうかい」と浪之助は歩いて行った。 書割だの大道具だのが積み重ねてある、
黴臭い薄暗い舞台裏を通り、並んでいる部屋々々の暖簾の前を通り、一番奥の部屋の前へ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
という題名として絃の切れたウィオリンの画の上に題名を書くというような鼻持ならない
黴臭い案だったから、即時にドレもこれも都々逸文学の語であると遠慮なく貶しつけてや....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
、大垣の町へ遊びに出かけて留守なので、書物は並べ放しにされていた。 むっとする
黴臭いにおいを嗅ぎ、ぼろぼろの表紙や比較的新しい表紙に陽の当っているのを見下しな....