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鼓膜
「鼓膜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼓膜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
おと》はすぐに消えてしまった。が、興奮した陳の神経には、ほどなく窓をしめる音が、
鼓膜《こまく》を刺すように聞えて来た。その後には、――また長い沈黙があった。
....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
ている。が、その金切声の中に潜んでいる幾百万の悲惨な人間の声は、当時の自分たちの
鼓膜《こまく》を刺戟すべく、余りに深刻なものであった。だからその時間中、倦怠《け....
「生きている腸」より 著者:海野十三
腸壁の一部が、音響にたいして非常に敏感になったことを発見した。まずそこに、人間の
鼓膜のような能力を生じたものらしい。彼はやがて、生ける腸《はらわた》に話しかける....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
、それを解いて、もう一度ギュッと縛り直した。――僕はもう何も見えなくなった。ただ
鼓膜だけが頼みであった。 「ようございますか――黙ってさせるのよ」 眼が見えな....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
おや、なんだろう……」 夜の静寂を破って、ドターンというような音響が、突然彼の
鼓膜をうった。それは急にどんなものがたてた音であると言い当てられない程の、やや鈍....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
中に墜落してゆく飛行機、波浪に呑まれて沈没してゆく艦艇から立昇る真黒な重油の煙、
鼓膜に錐を刺し透すような砲声、壁のように眼界を遮る真黄色の煙幕、――戦闘は刻々に....
「春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
て、ちょっと寝られない。それにアザラシの皮がサラサラ油紙を撫でて、静まりかえった
鼓膜をいじ悪く動かす。アルコールランプを少しの間燃して暖をとって無理に寝た。 ....
「金属人間」より 著者:海野十三
それにあとで検事たちも気がついたことだが、気圧がかなり低かった、係官のなかには、
鼓膜《こまく》がへんになって、頭を振っている者もあった。 博士は、係官を手まね....
「恐竜島」より 著者:海野十三
かった。 綱はずるずるずるずるとのびてきた。 瞬間、どうっという小音が一同の
鼓膜《こまく》をうった。 「水が流れた。助かったぞ」 今まで四人の周囲をひたひ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
な重い心になって居るかと思うと、突然暗黒な物凄い空間の中に眼が覚める。周囲からは
鼓膜でも破り相な勢で鉄と鉄とが相打つ音が逼る。動悸が手に取る如く感ぜられて、呼吸....
「人造人間の秘密」より 著者:海野十三
、上り坂になった段丘にたどりついたのであった。 砲声や銃声は、ひっきりなしに、
鼓膜をうち、脚にひびいてくるが、幸いにも、この段丘附近は、しずまりかえっていた。....
「地球要塞」より 著者:海野十三
撃った。百雷《ひゃくらい》が一時に崩《くず》れ落ちたかのように、その音響は、私の
鼓膜を揺りうごかした。――それは、単に言葉に過ぎなかったのではあるけれど……。 ....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
その大蜘蛛が金博士に言葉をかけたのだった。冗談じゃない……。 「うん」 博士の
鼓膜に、その声が入ったのか、博士は生返事をした。生返事をしただけで、彼はなおも飾....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
である。 それを見て、太刀川も、すぐ座席の下に手をのばして、受話器をとり、人工
鼓膜にあてた。 さかんに無線電話がきこえてくる。早口でしゃべっているのは、前に....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
いものを落したぞ」 その時、 だだだーん、だだん、だだだーん。 突如として
鼓膜をつんざくような烈しい砲声が起った。高射砲が飛行機めがけて火蓋を切ったのだ。....