鼠入らず[語句情報] » 鼠入らず

「鼠入らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鼠入らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
うつり香」より 著者:近松秋江
た。 ようやく立ち上って私はそこらの家ん中を見てまわった。すると台所の板の間に鼠入らずがあるのに気がついて、 「ああ、これは高い銭を出して買ったのだ」と思いな....
新世帯」より 著者:徳田秋声
豊かになって来た。手廻りの道具も増えた。新吉がどこからか格安に買って来た手箪笥や鼠入らずがツヤツヤ光って、着物もまず一と通り揃った。保険もつければ、別に毎月の貯....
二少女」より 著者:国木田独歩
何処となく陰鬱で不潔で、とても人の住むべき処でない。 簿記函と書た長方形の箱が鼠入らずの代をしている、其上に二合入の醤油徳利と石油の鑵とが置てあって、箱の前に....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
て必ず何等かの被害を受ける。お鉢のふたを開ける位は容易《たやす》い芸当で、戸棚、鼠入らずの戸まで開けて掠奪を逞しゅうする、そのうち、一匹の仔犬を飼うことによって....
」より 著者:森鴎外
言を言いながら、下手の乗っている馬がなまけて道草を食うように、物事を投遣にして、鼠入らずの中で肴が腐ったり、野菜が干物になったりする。 家の中の事を生帳面にし....
南国太平記」より 著者:直木三十五
裾分けに来たらしい女房が、周章てて勝手から出て行った。富士春は、お惣菜の小鉢を、鼠入らずへ入れて、益満へ 「お見限りだねえ」 「何を――こっちのいう科白《せりふ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
になるは無理もなく、台所には、まだ師匠や妻君の分が大分皿に盛られたまま晩食の分が鼠入らずに這入っておりますので、私はどうも、それが気になって、何んとかして一つそ....
虹の橋」より 著者:久生十蘭
の六畳、狭い庭をひかえた奥の八畳という小体《こてい》な住居だが、長火鉢、茶箪笥、鼠入らず、湯こぼしと、品よく、きちんとして、居なりで用が足りるようになっている。....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
、お母さんが「ともや、ここにこんなものが取ってあるから食べておいでな」といって、鼠入らずの中から、ラーヴェンダー色のあんこと、ネープルス・エローのきなこと、あの....
円太郎馬車」より 著者:正岡容
左手でかかえ、右手で鉄槌《かなづち》を、口で釘を三、四本含んで圓太郎は、荒神様と鼠入らずの間の板壁のところまでゆくと、瞬くうちに棚をひとつ吊りあげた。すッかりこ....
廃墟(一幕)」より 著者:三好十郎
を変えた双葉が、上手扉から小走りに入って来て、急いで炊事場へ行き、そこの棚の奥の鼠入らずのようになった個所をカタカタ言わせて開ける。室内の三人びっくりしてそれを....