鼻の下[語句情報] » 鼻の下

「鼻の下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鼻の下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
その現われ出た木部の顔を、いわば心の中の目で見つめているうちに、だんだんとその鼻の下から髭《ひげ》が消えうせて行って、輝くひとみの色は優しい肉感的な温《あたた....
婦系図」より 著者:泉鏡花
先公よ。何も野郎とも兄弟とも言ったわけじゃねえ。」 と庖丁の尖を危く辷らして、鼻の下を引擦って、 「すると何だ。肥満のお三どんが、ぶっちょう面をしゃあがって、....
海異記」より 著者:泉鏡花
の衣の、どこが袖ともなしに手首を出して、僧は重いもののように指を挙げて、その高い鼻の下を指した。 指すとともに、ハッという息を吐く。 渠飢えたり矣。 「三ち....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
様、トッピキピイ、あんな奴はトッピキピイでしゅ。」 と河童は水掻のある片手で、鼻の下を、べろべろと擦っていった。 「おおよそ御合点と見うけたてまつる。赤沼の三....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
わい。さて鮒じゃがの……姉さんと連立たっせえた、こなたの様子で見ればや。」 と鼻の下を伸して、にやりとした。 思わず、その言に連れて振返ると、つれの浪路は、....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
と女中が向うを向く時、捻平も目をしばたたいたが、 「ヤ、あの騒ぎわい。」 と鼻の下を長くして、土間|越の隣室へ傾き、 「豪いぞ、金盥まで持ち出いたわ、人間は....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
、――無い御縁が凄じいや、てめえが勝手に人の縁を、頤にしゃぼん玉の泡沫を塗って、鼻の下を伸ばしながら横撫でに粧やあがる西洋|剃刀で切ったんじゃないか。」 「ねえ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
つばかり、蔓ながらぶらりと提げて、コツンと支いて、面長で、人柄な、頤の細いのが、鼻の下をなお伸して、もう一息、兀の頂辺へ扇子を翳して、 「いや、見失ってはならぬ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ん。」 「…………」 「泉さん。」 驚いて縮めた近目の皺を、莞爾……でもって、鼻の下まで伸ばさせて、 「床屋へお入んなったのを……どうもそうらしいと思ったもん....
縁結び」より 著者:泉鏡花
、脚にはすねあてをしているわ……大森彦七じゃ。南無妙、」 と豊かに目を瞑って、鼻の下を長くしたが、 「山頬の細道を、直様に通るに、年の程十七八|計なる女房の、....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
る、沓脱の処に立ちたるは、洋服|扮装の紳士なり。頤細く、顔|円く、大きさ過ぎたる鼻の下に、賤しげなる八字髭の上唇を蔽わんばかり、濃く茂れるを貯えたるが、面との配....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
煙がどことなく立ち渡ります中を、段々近くへ寄って来て、格子へつかまって例の通り、鼻の下へつッかい棒の杖をついて休みながら、ぬっとあのふやけた色づいて薄赤い、てら....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
いになった男が一人、黄色な団扇で、耳も頭もかくしながら、土地の赤新聞というのを、鼻の下に敷いていたのが、と見る間に、二ツ三ツ団扇ばかり動いたと思えば、くるりと仰....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
す、言のあとさきは、咽喉の奥の方で、おおんと、空咳をせくのをきっかけに、指を二本鼻の下へ当てるのです。これは可笑しい。が、みつくちというんじゃありませんが、上唇....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
こだわるものは余り多からず。折角の巨人、いたずらに、だだあ、がんまの娘を狙うて、鼻の下の長きことその脚のごとくならんとす。早地峰の高仙人、願くは木の葉の褌を緊一....