鼻の先[語句情報] » 鼻の先

「鼻の先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鼻の先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
り深いね。だから、娘にきらわれるのさ。やきもちにも、ほどがあるよ。」 老婆は、鼻の先で笑いながら、杖《つえ》を上げて、道ばたの蛇《ながむし》の死骸《しがい》を....
」より 著者:芥川竜之介
長いのが不便だったからである。第一飯を食う時にも独りでは食えない。独りで食えば、鼻の先が鋺《かなまり》の中の飯へとどいてしまう。そこで内供は弟子の一人を膳の向う....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
》ではございませんか。御戻りになるがものはございますまい。」と云って、一刻も早く鼻の先の祥光院まで行っていようとした。しかし甚太夫は聞かなかった。「鳥目《ちょう....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
った。そうしてかすかな叫び声を洩らした。 鏡の中の犬の屍骸は、いつか黒かるべき鼻の先が、赭《あか》い色に変っていたのだった。 十一 妾宅....
煙管」より 著者:芥川竜之介
「こう、見や。」 河内山は、小声でこう云って、煙管の雁首《がんくび》を、了哲の鼻の先へ、持って行った。 「とうとう、せしめたな。」 「だから、云わねえ事じゃね....
魔術」より 著者:芥川竜之介
、テエブル掛の中にあった花模様の一つに違いありません。が、ミスラ君がその花を私の鼻の先へ持って来ると、ちょうど麝香《じゃこう》か何かのように重苦しい※さえするの....
Mensura Zoili」より 著者:芥川竜之介
》鴎《かもめ》か何かであろう。 さて、僕の向いあっている妙な男だが、こいつは、鼻の先へ度の強そうな近眼鏡をかけて、退屈らしく新聞を読んでいる。口髭《くちひげ》....
」より 著者:芥川竜之介
云うが、見た所はもっと大人《おとな》らしい。何しろ色が白くって、眼が涼しいから、鼻の先が少し上を向いていても、とにかく一通りの美人である。それが髪をまん中から割....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
る。――念のためにもう一度繰り返すと、顔は美人と云うほどではない。しかしちょいと鼻の先の上った、愛敬《あいきょう》の多い円顔《まるがお》である。 お嬢さんは騒....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
坐っていた父は顋《あご》で彼に差図《さしず》をした。彼はその差図通り、すぐに母の鼻の先へ坐った。 「何か用?」 母は括《くく》り枕の上へ、櫛巻《くしま》きの頭....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
には、聊《いささ》か西洋人じみた疎《まばら》な髯を貯えている。これはつんと尖った鼻の先へ、鉄縁《てつぶち》の鼻眼鏡をかけたので、殊にそう云う感じを深くさせた。着....
仙人」より 著者:芥川竜之介
ょう》が見えた。折から、降りが、前よりもひどくなって、肩をすぼめて歩いていると、鼻の先からは、滴《しずく》が垂れる。襟からは、水がはいる。途方に暮れていた際だか....
仙人」より 著者:芥川竜之介
々《いまいま》しそうに小言《こごと》を云いました。 しかし女房はあやまる所か、鼻の先でふふんと笑いながら、 「まあ、あなたは黙っていらっしゃい。あなたのように....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
った。 その内に彼とその男とは、顔を合せるばかりに近くなって来た。しかし相手は鼻の先へ来ても、相不変《あいかわらず》笛を吹き止めなかった。彼は路を譲りながら、....
少年」より 著者:芥川竜之介
ある。少女は今度はけげんそうに宣教師の顔へ目を挙げた。これは少女ばかりではない。鼻の先にいる保吉を始め、両側の男女の乗客はたいてい宣教師へ目をあつめた。ただ彼等....