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鼻口
「鼻口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼻口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
し、どこからともしれず、にゅっとばかりに馬の鼻面が彼の肩の上へのしかかって、その
鼻口から彼の頬にふうっと一陣の風でも吹きつけないかぎり彼は自分が書きものの行の中....
「富士」より 著者:岡本かの子
く塩辛いのもあり、いくらか甘くて――」 といいかけたとき、女は急いで袖を自分の
鼻口に当て手を差し出して止めた。 「もういいもういい。話は判っててよ」 女は、....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
き何物をも彼の人相の上に有《も》っていなかったのである。彼の顔の表に並んでいる眼
鼻口のいずれを取っても、その奥に秘密を隠そうとするには、余りにできが尋常過ぎたの....
「三山居士」より 著者:夏目漱石
《いき》のようなものが、下駄《げた》の歯に蹴返《けかえ》されるごとに、行く人の眼
鼻口を悩ますべく、風のために吹き上げられる気色《けしき》に見えた。家へ帰って護謨....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
い繊細な線が描かれ始めた。 ちょうど人の肖像をかこうとする画家が、その人の耳目
鼻口をそれぞれ綿密に観察するように、君は山の一つの皺一つの襞にも君だけが理解する....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を払って見給え」
そして、埃の層が雪崩のように摺り落ちた時だった。噎っとなって
鼻口を覆いながらも瞠いた一同の眼が、明らかにそれを、像の第一肋骨の上で認めたので....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
。武蔵野の土あらしも、やわか劣る可き。遠方から見れば火事の煙。寄って来る日は、眼
鼻口はもとより、押入、箪笥の抽斗の中まで会釈もなく舞い込み、歩けば畳に白く足跡が....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
――名探偵猫々先生の口へ持っていった。 強烈にして芳醇なる蒸発性物質が名探偵の
鼻口を刺戟したらしく、彼は大きなくしゃみと共に生還したのであった。彼は大急ぎで自....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
んで、色の附いた空気があらゆる隙間から、室内へ、机の上へ、寝台へ、そして私たちの
鼻口へ、おそらくは肺の底へまで音を立てて侵入してくるのだ。そのために椅子の背も人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
殺したものでないことを知りました。そこに迸《ほとばし》っている夥しい血汐は、その
鼻口《はなくち》から吐いたものであって、刃を己《おの》れの身に当てて切って出した....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
、ベッ。臭いのなんの」 よほど悪臭の強い魂らしい。正宗神様、イマイマしがって、
鼻口をゆがめて、目をつぶっている。 魂を投げすてられたから、白衣の男の苦しむの....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
りたけの烟草が一どきに燃え出して、その咽ることは……焦熱地獄とはこんなものかと目
鼻口から涙が出やした」 と、今は寒さに震えながら、下火に当っての物語、……茫々莫....
「瘤」より 著者:犬田卯
ら。」 ふと、大仰に言っている声に振り向くと、それは造化の神が頭部を逆に――眼
鼻口は除いて間違えて付けたのではないかと思われるほど頬から※の素天辺はつるつるに....
「菜の花物語」より 著者:児玉花外
の黒髪に挿すヒラヒラする銀紙の花簪、赤いもの沢山の盛装した新調の立派な衣裳……眉
鼻口は人並だが、狐そっくりの釣上った細い眼付は、花嫁の顔が真白いだけに一層に悽く....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
熾った。 ハタハタと白い扇子やハンカチーフが群蝶のように舞い出した。おおかたは
鼻口を固くふさいだものだ。ところで、「やあ、こりゃあ、どえらい羊の胃袋だなあ。驚....