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「鼻声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鼻声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
「いや、なに、つまらないことなのですよ。――」 ラップはやっと頭をあげ、悲しい鼻声を出しました。 「僕はきょう窓の外を見ながら、『おや虫取り菫《すみれ》が咲い....
将軍」より 著者:芥川竜之介
たい、反感に似たものを与えるらしかった。 「おい歩兵《ほへい》!」 旅団参謀は鼻声に、この支那人を捉《とら》えて来た、戸口にいる歩哨を喚《よ》びかけた。歩兵、....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
今の声は。」と尋ね合いましたが、それぎり受話器の中はひっそりして、あの呟くような鼻声さえ全く聞えなくなってしまいました。「こりゃいけない。今のは君、あの婆だぜ。....
婦系図」より 著者:泉鏡花
へ乱れて、颯と光った、籠の蛍に、ハット思う処を、 「何ですね、お前さん、」 と鼻声になっている女房に剣呑を食って、慌てて遁込む。 この物音に、お蔦はまたぱっ....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
女が声高に争っている様子だ。 「だって、どうしても思い出せないのよオ」そう言って鼻声を出しているのは、先刻のナンバー・ワンのゆかりだった。 「あんたは、冗談を言....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
女どもは、身体を蛇のようにねじらせて、 「ねェ、ねェ」「ねえッたら、ねェ」 と鼻声をあげる。そこで金は、懐中をさぐって、卓子の上へポーンと煙草の函を投げだす。....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
とか、あんなにムザムザ機関車に喰われてしまったんでは泣くに泣けんと言う様な事を、鼻声で愚痴り始めたんです。 そこで片山助役は、安藤巡査へ、 「盗まれたのは、勿....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
れも浅ましく口拍子よかった中に、誰やら持病に鼻をわずらったらしいのが、げすっぽい鼻声を張り上げて、 「やい、そう言うおのれの女房こそ、鷲塚の佐助どんみたいな、ア....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
。ことに、鼻から上唇にかけて、大きな膏薬がはりつけてあり、そのせいかたいへん低い鼻声しか出せない。太刀川は、ケント夫人が皮膚病をわずらっているのであろうと思った....
不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
、呼吸をはずませて云い争っている。若い女の、なんというか恨み死するような感能的な鼻声が聞えた。…… 「そこだっ、――こん畜生!」 乃公はピストルの引金をひいた....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
が続いて突立った忘八の紳士が、我がために髪を結って化粧したお澄の姿に、満悦らしい鼻声を出した。が、気疾に頸からさきへ突込む目に、何と、閨の枕に小ざかもり、媚薬を....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
を見せながら「砂糖漬けのオレンジを二つと巴旦杏を二つと、砂糖のついた栗を二つ」と鼻声で言う、この小男の老人の姿をこころに描いてごらんなさい。 菓子屋の職人は私....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ー・ホローの善良なひとびとは、夕方家の戸口に腰かけながら、恐怖に満たされて、彼の鼻声の歌をきいたことがしばしばあった。その歌は、「長々と美しくつながり」遠くの丘....
呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
ていた。 千歳が、明日の朝の箱根行きの仕度をしに部屋へ引取ろうとすると、仲子は鼻声で言った。 「ちょっと、あたしに、その電報|頂戴よ」 五月の薄曇りの午前に....
」より 著者:岡本かの子
供の食べるような菓子は切らしていた。だが蓑吉は一わたり玩具をいじり廻して仕舞うと鼻声になり 「何か呉れない。お菓子」 と立上って来た。 室子は仕方なく蓑吉を....