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「鼻孔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鼻孔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
冬の日」より 著者:梶井基次郎
女が何病だかを直感させた。陶器のように白い皮膚を翳《かげ》らせている多いうぶ毛。鼻孔のまわりの垢《あか》。 「彼女はきっと病床から脱け出して来たものに相違ない」....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
扉の前に立つと、異様な臭気が流れて来て、その腐敗した卵白のような異臭には、布片で鼻孔を覆わざるを得なかったのである。然し室内には、曽て何人も見なかったであろう所....
俘囚」より 著者:海野十三
笑いだった。 「呀《あ》ッ。――」 白いものが、夫の手から飛んで来て、あたしの鼻孔《びこう》を塞《ふさ》いだ。――きつい香《かお》りだ。と、その儘《まま》、あ....
蠅男」より 著者:海野十三
るメスを手にした鴨下ドクトルを見つけた。「何事?」と詰問しようと思ったとき、彼の鼻孔には麻酔薬の高い匂いが香った。――ドクトルの実験は、そのような光景の中に始ま....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
止する。 その結果、妙な音響を発する。鼻と口とを抑えてくさめをするからである。鼻孔を出来るだけ細くしてくさめをするからである。うっかりきもちよくくさめをすると....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
子が置かれてあった。隅の方へ行って人群から遠ざかると、古くさい黴の匂いがプーンと鼻孔を衝いてくる。煖炉棚の上には埃が五|分ほども積っていて、帷幕に触れると、咽っ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
のだ。しかし、頭の鉢が低く斜めに殺げ、さらに眉のある上眼窩弓がたかい。鼻は扁平で鼻孔は大、それに下顎骨が異常な発達をしている。仔細に見るまでもなく男性なのである....
海底都市」より 著者:海野十三
いつ》だ。こんなに僕を苦しめる奴は?) もういけない。爪先で立っていても、水が鼻孔《びこう》に入って来る。仕方がないから僕はもう立っていることを諦《あきら》め....
地獄の使者」より 著者:海野十三
身体をうしろへそらせ、手まねで早くむこうへやれと促した。傍にいた警部は指で自分の鼻孔をおさえた。帆村はいんぎんに一礼をして、鼠の死骸を指先に吊り下げたままゆっく....
空襲警報」より 著者:海野十三
つっこんだり、それから、また或者は一時の間にあわせに、綿栓をこしらえ唾でしめして鼻孔に挿した。 そうしておいて、鍛冶屋の大将を手本にして、防毒壜を口にくわえた....
人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
球をしらべた。右の眼も、左の眼もそうした。 それから同じくピンセットを使って、鼻孔や口の中を調べていた――ように記憶する。記憶するというのは、ちょっと申訳がな....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
denia peregrina”という合歓科の樹の種だ。土人は、そのくだいた粉を鼻孔に詰めて吸う。すると、忽ちどろどろに酔いしれて、乱舞、狂態百出のさまとなるの....
迷信解」より 著者:井上円了
に足らざることが分かる。また俗に、人の溺死せる節、親戚のものきたるときは、死人の鼻孔より出血するという話は、いずこにても一般に唱うることなるが、その道理は医家の....
西航日録」より 著者:井上円了
ころにあらず。これに加うるに面色墨を帯び、額に彩色を施し、婦人は手足に環を着け、鼻孔にカスガイをうがち、包頭跣足、一見たちまち蛮人に接するの思いをなす。もしその....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
るために却って無表情に帰した中年男の逞ましい意旨だけが、大きく瞠いた眼と、膨れた鼻孔とに読めました。 「私も前半生に於て痛切な勉強をしたものです」と彼は小さく声....