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鼻持ち
「鼻持ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼻持ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片信」より 著者:有島武郎
て反覆応酬されては、すなわち単なる議論としての議論になっては、問題が問題だけに、
鼻持ちのならないものになると思っている。しかし兄に僕の近況を報ずるとなると、まず....
「風の便り」より 著者:太宰治
十年間の秘めたる思いなどという背筋の寒くなるような言葉で飾って、わあっ! 私は、
鼻持ちならぬ美文の大家です。文章|倶楽部《クラブ》の愛読者通信欄に投書している文....
「乞食学生」より 著者:太宰治
めて興醒《きょうざ》めの言葉を選んで言った。少年の相変らずの思わせぶりが、次第に
鼻持ちならなく感ぜられて来たのである。「君は跛でもないじゃないか。それに、人間は....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
うるそうございますねえ」 「じっくり研究さえさせてくれない。全く俗流という奴は、
鼻持ちのならない厭な奴だ。好奇心ばかり強くてな。そうしてそいつの満足のためには、....
「勉強記」より 著者:坂口安吾
ないと思いませんか」按吉は龍海さんに訊いた。 「割りきれません! いい加減です!
鼻持ちならない!」 そう答えて、龍海さんは、怒りのためにぶるぶるふるえた。二人....
「探偵小説を截る」より 著者:坂口安吾
切の取り柄がないのである。 ヴァン・ダインとなると、この形式の臭気は、まったく
鼻持ちならなくなる。フィロ・ヴァンスなる迷探偵が何かにつけて低脳そのものゝ智者ぶ....
「日月様」より 著者:坂口安吾
たるようになったらしい。教養のない女が生活の主権を握ると、まことにつけあがって、
鼻持ちならぬ暴君となるもので、彼が尻の下にしかれた生活ぶりは、私には見るに忍びが....
「わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
でも撮して宣伝の具にしようとでもいう魂胆だったのかも知れない。そういうシツコサが
鼻持ちならなくなったのである。旅先の徒然に、手ごろな慰みだと思っていたが、慰みで....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
としての素質が不足のせいらしい。たとえば、ミイラは老残の身であるから、羞恥もなく
鼻持ちならぬ恋はできても、とても青年のころのような夢のような恋をささやくわけには....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
つ五回も八回も鳴らすので、さては二世のセラダだなとぼくたちに判ったばかりでなく、
鼻持ちならぬキザな野郎に相違ないと見当がついた次第です。 そこで日野とぼくは帳....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
品はいい娘だ」 「甘え野郎だ、惚気ていやがる」 「銚子小町だということだな」 「
鼻持ちがならねえ、いろきちげえ!」 「だが、銚子の小町娘も、田の草を取ったり網を....
「決闘」より 著者:神西清
前を行く二台の馬車の方を眺めた。そしてまるで、皆の生活の邪魔ばかりする厄介至極な
鼻持ちのならぬ人間を今しがた葬って、墓場からみんなで帰るところのような気がした。....
「髪」より 著者:織田作之助
なっているだろうが、しかし俺は少なくとも君たちよりは一寸有名な男なんだぞという、
鼻持ちならぬ考えであった。 点呼がすむと、私はあわてて髪を伸ばしに掛った。やが....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
とは、まっかのいつわり。ただ、ふにゃふにゃした血みどろのような、暗紫色の塊が二つ
鼻持ちならぬ悪臭を放っているだけだ。 一益の激怒は、ここに説明するまでもない。....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
トのどこの寺に行ってもこういう臭いがするので、とても日本人が始めて入った時分には
鼻持ちのならぬ臭いであろうと思われたです。チベットでは燈明は皆バタで上げる。それ....