鼻端[語句情報] »
鼻端
「鼻端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼻端の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
顔には、しだいと図抜けて、眼だけが大きくなっていった。そして肉体の衰えにつれて、
鼻端がいよいよ尖り出し唇が薄らいでくると、その毛虫のような逞《たくま》しい眉と俟....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
に達し、ガンジス、インダス河より北インドの諸大河に棲み、喙《くちばし》細長く尾の
鼻端大いに膨れ起り、最も漢画の竜に似たり。 マルコ・ポロの紀行に、宋帝占うて百....
「山の怪」より 著者:田中貢太郎
のものが掠めた。谷の下の方の林の中から一疋の大きな野猪が不意に出て来て、半兵衛の
鼻端に触るように係蹄の傍へ往った。半兵衛は鉄砲をかまえた。野猪は蛙を呑んでむこう....
「荘子」より 著者:岡本かの子
の側に突立った。斧が二三度大きく環を描いて宙に鳴った。はっという掛声と共に少女の
鼻端の白土は飛び壁に当ってかちりと床に落ちた。少女はすぐさま起き上って嬌然と笑っ....
「若鮎の塩焼き」より 著者:北大路魯山人
。急流の中を苦労して泳ぎながら、岩に生えている苔を食うので、頭はしまって小さいが
鼻端が発達している。これに反し養殖のあゆはなんといっても池の中でいわしやさなぎの....
「春心」より 著者:田中貢太郎
人か己を見ているものでもないかと云うようにして、ちらと後を見ておいて年老った婢の
鼻端へ近ぢかと顔を持って往った。 「汝さん、知らない」 「なんだね」 「たいへん....
「警察署長」より 著者:田中貢太郎
っついて来た。彼は鞭を放さずに握っていた。彼は揮り向いて鞭をふった。ベルセネフの
鼻端にその鞭が来た。ベルセネフはそれを避けて体を右にして立ち止った。エルマはその....
「女の首」より 著者:田中貢太郎
これはどうだい」 小柄な男は右の手を握ってから人さし指ばかりを開き、それを己の
鼻端に触るように持って往ったが、それは非常にすばしこいやり方であった。 「痴、お....
「黄灯」より 著者:田中貢太郎
画がそこに見られた。榻に寝た女が蒼白い左手を張り、その掌で左の耳元を支えて、すぐ
鼻端に腰をかけた男とはなしているところであった。緑色の被をかけた電燈の光が、艶か....