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「鼻緒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鼻緒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
時に、日和下駄《ひよりげた》をはいているのに心づいた。しかもその日和下駄は左の前鼻緒《まえばなお》がゆるんでいた。自分は何だかこの鼻緒が切れると、子供の命も終り....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
の独鈷の前にちゃんと着物を袖《そで》だたみにし、遺書は側《そば》の下駄《げた》の鼻緒《はなお》に括《くく》りつけてあったと言うことです。何しろ死体は裸のまま、温....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
速力で、進行していた電車ですから、足が地についたと思うと、麦藁帽子が飛ぶ。下駄の鼻緒《はなお》が切れる。その上俯向きに前へ倒れて、膝頭《ひざがしら》を摺剥《すり....
百合」より 著者:芥川竜之介
い内に、母の藁草履《わらぞうり》へ足をかけた。藁草履はじっとり湿《しめ》った上、鼻緒《はなお》も好《い》い加減|緩《ゆる》んでいた。 「良平! これ! 御飯を食....
星座」より 著者:有島武郎
限ると思って夜着の中に顔を埋めた。寝入りばなの咳がことに邪魔になった。 純次が鼻緒のゆるんだ下駄を引きずってやってくる音がした。清逸は今夜はもう相手になってい....
婦系図」より 著者:泉鏡花
。飯田町の子分の内には、玄関の揚板の下に、どんな生意気な、婦の下駄が潜んでるか、鼻緒の色まで心得てるんだ。べらぼうめ、内証でする事は客の靴へ灸を据えるのさえ秘し....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、杖、洋傘も一束。大勢|余り隙だから、歩行出したように、もぞりもぞりと籐表の目や鼻緒なんぞ、むくむく動く。 この人数が、二階に立籠る、と思うのに、そのまた静さ....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
七 小春の身を、背に庇って立った教授が、見ると、繻子の黒足袋の鼻緒ずれに破れた奴を、ばたばたと空に撥ねる、治兵衛坊主を真俯向けに、押伏せて、お....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
…… 「どうぞ、こちらへ。」 と言った時は――もう怪しいものではなかった――紅鼻緒の草履に、白い爪さきも見えつつ、廊下を導いてくれるのであろう。小褄を取った手....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
、こんな店で売っている竹の皮、藁の草履などは一足もない。極く雑なのでも裏つきで、鼻緒が流行のいちまつと洒落れている。いやどうも……柿の渋は一月半おくれても、草履....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
て、さあ寝支度も出来た、行燈の灯を雪洞に移して、こいつを持つとすッと立って、絹の鼻緒の嵌った層ね草履をばたばた、引摺って、派手な女だから、まあ長襦袢なんかちらち....
黒百合」より 著者:泉鏡花
橋手前には腕白盛の滝太一人、行儀をしつけるものもなし、居まわりが居まわりなんで、鼻緒を切らすと跣足で駆歩行く、袖が切れれば素裸で躍出る。砂を掴む、小砂利を投げる....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
はいつもと同一の白衣に白の頭巾をかぶり、そして長い長い一|本の杖を持ち、素足に白鼻緒の藁草履を穿いて私の先きに立たれたのでした。序でにお爺さんの人相書をもう少し....
式部小路」より 著者:泉鏡花
あっていったんですな。考えていると、愛吉は何、剃刀で殺すぐらいは、自分が下駄の前鼻緒を切るほどにも思わない。都合をして、定子|阿魔の顔さえ見せておくんなさりゃ、....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
罪になるのは了解に苦しむ。無罪だ』と述べたが懲役五ヵ月をくった。 獄中でゲタの鼻緒の芯をない、封筒はりをしたが、獄房の中へもシャバのタヨリが伝わってくる。ある....