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鼾
「鼾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
にその小屋の前を通りぬけました時も、蓆壁《むしろかべ》の後《うしろ》にはただ、高
鼾《たかいびき》の声が聞えるばかり、どこもかしこもひっそりと静まり返って、たった....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
。父と一つ部屋に眠るのは、少くともこの三四年以来、今夜が彼には始めてだった。父は
鼾《いび》きをかかなかったかしら、――慎太郎は時々眼を明いては、父の寝姿を透《す....
「或る女」より 著者:有島武郎
ままのひとみを蔽《おお》って行った。少し開いた口びるの間からは、うめくような軽い
鼾《いびき》がもれ始めた。それを葉子はかすかに意識しながら、ソファの上にうつむき....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
うとした。然し暫《しばら》くの苦痛の後に、産婦はすぐ又深い眠りに落ちてしまった。
鼾《いびき》さえかいて安々と何事も忘れたように見えた。産婆も、後から駈けつけてく....
「星座」より 著者:有島武郎
って、ラムプを消すやいなや、ひどい響を立てて床の中にもぐりこんだ。
純次はすぐ
鼾《いびき》になっていた。
清逸の耳にはいつまでも単調な川音が聞こえつづけた。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と言うと斉しく、仰向けに寝て、毛布を胸へ。――鶏の声を聞きながら、大胆不敵な
鼾で、すやすやと寝たのである。 暁かけて、院長が一度、河野の母親大夫人が一度、....
「親子」より 著者:有島武郎
。 父はいつまでも寝つかないらしかった。いつもならば頭を枕につけるが早いかすぐ
鼾になる人が、いつまでも静かにしていて、しげしげと厠に立った。その晩は彼にも寝つ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
。 おらが肩も軽くなって、船はすらすらと辷り出した。胴の間じゃ寂りして、幽かに
鼾も聞えるだ。夜は恐ろしく更けただが、浪も平になっただから、おらも息を吐いたがね....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
フの尼寺から二人尼っちょが来たんだ。野郎が有難い事を云ったってかんかん虫手合いは
鼾をかくばかりで全然補足になら無えってんで、工場長開けた事を思いつきやがった、女....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、凪はよし、大話しをし草臥れ、嘉吉めは胴の間の横木を枕に、踏反返って、ぐうぐう高
鼾になったげにござります。 路に灘はござりませぬが、樽の香が芬々して、鮹も浮き....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の、それも宵ながら朦朧と閉っていて、よろず荒もの、うどんあり、と記した大な字が、
鼾をかいていそうに見えた。 この店の女房が、東京ものは清潔ずきだからと、気を利....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
襦袢にのめずって、靴足袋をぬいと二ツ、仕切を空へ突出したと思え。 大蛇のような
鼾を掻く。……妾はいいなぶりものにされたじゃないか。私は浅ましいと思った。大入の....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
か、痘痕の亭主に限ります。もっともそれじゃ、繁昌はしまいがね。早いから女中はまだ
鼾で居る。名代の女房の色っぽいのが、長火鉢の帳場奥から、寝乱れながら、艶々とした....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
切|頓着なく、どしどしと廊下を踏んで、やがて対向になる時、傍の玄関の壁越に凄じい
鼾を聞いて、 「壮だ、壮だ。」 と莞爾する。 顔色が、ぐっすり寝込んだ処を、....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
戸の水。 なんて出鱈目に怒鳴るんですって、――コリャコリャと囃してね、やがて高
鼾、勿論|唯一人。 「呆れた奴だねえ。」 「から箸にも棒にもかかるんじゃありませ....