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鼾声
「鼾声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鼾声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
、この変化は僕に取って少し意外の感があった。気楽そうに見える叔父はそのうち大きな
鼾声《いびき》をかき始めた。吾一もすやすや寝入《ねい》った。ただ僕だけは開《あ》....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
また呑気《のんき》なもんで、依然として毛布《けっと》から大きな足を出してぐうぐう
鼾声《いびき》をかいて寝ている。それを長蔵さんが起す。―― 「御前《おまえ》さん....
「行人」より 著者:夏目漱石
《うらや》ましい」と答えました。私はどうしても寝つかれない兄さんの耳に、さかんな
鼾声《いびき》を終宵《よもすがら》聞かせたのだそうです。
その日は夜明から小雨....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
まさに、津多子夫人が横たわっている附近から発せられてくる。薄気味悪い地動のような
鼾声、それも病的な喘鳴でも交っているかのような……。ああ、法水が死体と推測した津....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
に、その歯の間から漏れた。 大砲は、なお遠くで、静けさを破って轟いていた。人の
鼾声や、犬の吠えるのがきこえる。電燈だけが、ます/\明るくなっていた。憲兵の靴が....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
「あのころが思い出されるねえ」 と小畑は寝ながら言った。 荻生さんが一番先に
鼾声をたてた。「もう、寝ちゃった! 早いなア」と小畑が言った。その小畑もやがて疲....
「李陵」より 著者:中島敦
せた。外に出て一応各部署を点検し終わると、ふたたび幕営に入り、雷《らい》のごとき
鼾声《かんせい》を立てて熟睡した。 翌朝李陵が目を醒《さ》まして外へ出て見ると....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
惨に浮き出さしている。
そこに、月輪の四人が、思い思いの形に寝こんで、かすかな
鼾声《かんせい》を聞かせているのは平七郎らしかった。
耳に食い入るような夜更け....
「白痴」より 著者:坂口安吾
肉塊に何物を附け加えることも有り得ないのだ。女は微かであるが今まで聞き覚えのない
鼾声をたてていた。それは豚の鳴声に似ていた。まったくこの女自体が豚そのものだと伊....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
物置きの洞にみちびいて、その片すみに寝さした。ふたりは極度に疲労した人のように、
鼾声をあげて早くも熟睡した。 九時ごろにモコウは、ふたりの寝ている洞の片すみに....
「飛沙魚」より 著者:佐藤垢石
る、いる。鮎、※、鮠などが淵の中層で、ぐうぐうやっている。魚類のことであるから、
鼾声は聞こえないが、尾も鰭も微動だにさせないで、ゆるやかに流れる水に凝乎としてい....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
まにぐずりと坐りおとなしく居るかと思えば、散らかりし還原海苔の上に額おしつけはや
鼾声なり。源太はこれに打ち笑い、愛嬌のある阿呆めに掻巻かけてやれ、と云いつつ手酌....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
道をば静かに心地よく馳《は》せ下りて行く。突然足を踏まれた先刻《さっき》の職人が
鼾声《いびき》をかき出す。誰れかが『報知新聞』の雑報を音読し初めた。 三宅坂《....
「追放されて」より 著者:神西清
っとこれはみんな夢なのだ、と韃靼人は考えた。自分が寝入ったような気がして、自分の
鼾声が聞えた。……ここは言わずと知れたシンビールスク県の家だ。ただ妻の名を呼びさ....
「『唯研ニュース』」より 著者:戸坂潤
た。二人の話しが長かったもので、森氏は喋らずに済んだ。私は佐渡に滞在中、巨人的な
鼾声で以て両君を恐怖せしめたから、その罪滅しに精々長くやったのである。 私の話....