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齧
「齧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
齧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
わん
ある冬の日の暮、保吉《やすきち》は薄汚《うすぎたな》いレストランの二階に脂臭《あぶらくさ》い焼パンを
齧《かじ》っていた。彼のテエブルの前にあるのは亀裂《ひび》の入った白壁《しらかべ....
「猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
んだどもよ」 「そんなことを言って驚かさないでください。松島はいままで本にばかり
齧《かじ》りついていて、工場には慣れていない人ですから、そんなことを言われると本....
「新生」より 著者:島崎藤村
付くものじゃないよ」
そういう岸本の背後《うしろ》へも来て、泉太は父親の首筋に
齧《かじ》りついた。
「でも、泉ちゃんも大きく成ったねえ」と岸本が言った。「毎日....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
は歯が丈夫で、七十七歳で世を終るまで一枚も欠損せず、硬い煎餅でも何でもバリバリと
齧った。それと反対に、父は歯が悪かった。ややもすれば歯痛に苦しめられて、上下に幾....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
た。 「莫迦にゆっくりしているじゃないか」 「それは、最後のお別れだからな」 「
齧り付いているんだな」 「うん、そうとも、几帳の中で」 「百歳過ぎたお婆とな」 ....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
斐がないというものだ」 金博士は、後向きに椅子に腰をかけて、西瓜の種をポリポリ
齧っている。さっきから何ひとつろくに返事をしない。 「ねえねえ金博士。博士は、わ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
には、神様も、精神統一も、まるきりあったものではございませぬ。私はよく間近の岩へ
齧りついて、悶え泣きに泣き入りました。そんな真似をしたところで、一たん死んだ者が....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
ない所業だ。……これに比べては貧乏などは物の数にも入りはしない。荻生徂徠は炒豆を
齧って古人を談じたというではないか。豆腐の殻を食ったところで活きようと思えば活き....
「博物誌」より 著者:岸田国士
日じゅう続くのである。 新しい草をついやらずにいると、彼らは古いやつを根元まで
齧り、それから根さえも噛みちぎる。 ところが、ちょうどいま、一株のサラダ菜が彼....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
む、よくあることだ。よく、青葉病といって、急に憂鬱になるか、それとも、見境いなく
齧りつくような、亢進症になるか――。とにかくあれは、殻を割りたくても、割り得ない....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
ンス法律だの、その他大してためにもならなかったフランスのパン屑みたいな学問だのを
齧っていた頃でさえ、君はいつだって存在を認められていたし、僕はいつだって――存在....
「決闘」より 著者:神西清
葡萄酒をぐっとやった。 「彼の理想を聞いて見てもやっぱり専制的なんだ」と彼は桃を
齧り、笑いながら言う、「普通の人間なら、公益のために働くという場合、自分の隣人―....
「秋深き」より 著者:織田作之助
雨戸は明けはなたれていて、部屋のなかが急に軽い。山の朝の空気だ。それをがつがつと
齧ると、ほんとうに胸が清々した。ほっとしたが、同時に夜が心配になりだした。夜にな....
「罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
久し振りで快よい照明を与えた。彼は夢中になって食パンに食いついた。それから林檎に
齧りついた。 腹が十分になって少し余裕が出ると、彼は久しく吸わなかった、煙草が....
「はなしの話」より 著者:岡本綺堂
は歯が丈夫で、七十七歳で世を終るまで一枚も欠損せず、硬い煎餅でも何でもバリバリと
齧った。それと反対に、父は歯が悪かった。ややもすれば歯痛に苦められて、上下に幾枚....