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い文字
「い文字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
い文字の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
覚悟はして居りました。」と気味の悪いほど静に云いました。心中――そう云う穏ならな
い文字が、まるで燐《りん》ででも書いたように、新蔵の頭脳へ焼きついたのは、実にこ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
、傍の扉の上に懸っている黒い漆塗りの名札を読むと「市長室」などと、厳しい達者な白
い文字で記してあった。 ――はッはッ、これが本物のT市長さんの居るところか。と....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
沢山の名札の中で一番上の列の一番端にかかっていた「研究所長|鬼村正彦」と書いた赤
い文字のある札を手にとって、その裏をかえすと、又|復の位置にパチリと収めた。赤か....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
きそうな人を選べ!」 一方が、赤色手提灯の薄い光の下に、手帖を展げて、読みにく
い文字を書いた。 他の一人が、それを見て、隊長らしいのをグングン向うへ引張って....
「地獄街道」より 著者:海野十三
向うへ行ってしまうと、辻永は待ちかねたように、懐中から手帖を出した。それには小さ
い文字で、いくつもの項目わけにして書き並べてあった。 「君。ちょっとこのところを....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
は気も止めず、メタルを掌にとって器用にも片手でその裏を開いた。中からは何やら小さ
い文字を書きこんだ紙片がでてきた。痣蟹はニッコリと笑い、 「やっぱり俺のものにな....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
。それから小屋の中からは、皆に当てた遺書が出て来たが、世を果敢んで死ぬると、美し
い文字で連ねてあった。あの子は仲間の噂じゃ、女学校に上っていたことがあるらしいネ....
「銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
ンキで書いた文字を、普通の色のないガラスで見ると、ガラスなしで見ると同じように赤
い文字に見えるでしょう? しかし、同じように赤いインキで書いた文字を、今度は赤い....
「断層顔」より 著者:海野十三
抹消されたる文字があるが、これはどう読むんだろう」 「抹消、すなわち読まなくてい
い文字だ」 「だってこれを読まないと文章が舌足らずだぜ」 「文芸作品じゃないから....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
の日附と夕刻の数字とが欄外《らんがい》に書きこんであり、本欄の各項はそれぞれ小さ
い文字で埋《うま》っていた。 “――省線山手線内廻り線の池袋駅停り電車が、同駅ホ....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
銀書の経である。 俗に銀線に触るるなどと言うのは、こうした心持かも知れない。尊
い文字は、掌に一字ずつ幽に響いた。私は一拝した。 「清衡朝臣の奉供、一切経のうち....
「香水紳士」より 著者:大阪圭吉
てるところだった。 それは三面記事で、上のほうの右肩のところに、次のような恐し
い文字が、大きな活字で印刷されてあった。 覆面の盗賊、今暁渋谷の××銀行を襲う、....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
虫眼鏡で、くだんの米粒を拡大した。 なるほど、米粒の男の言うとおり、全くのほそ
い文字で、いろはが書かれてあった。 「大したものどすな」 「どないして書かはった....
「二葉亭四迷」より 著者:内田魯庵
、支那の屈原や司馬長卿、降って六朝は本より唐宋以下の内容の空虚な、貧弱な、美くし
い文字ばかりを聯べた文学に慊らなかった。それ故に外国文学に対してもまた、十分|渠....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
しく、至る処に悲痛な歎きが見出される。ある時は夫人の後を追うて、死を切望するらし
い文字もあった。私は小田切さんを知っているだけに、彼の心中を思って涙ぐましい気持....