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い草
「い草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
い草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文放古」より 著者:芥川竜之介
は云われないものだから、内々《ないない》あたしへ当って見るんでしょう。そのまた言
い草が好《い》いじゃないの?『お前さんにでも来て貰えりゃ、あいつの極道《ごくどう....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
在なんだから可笑《おか》しい。もっともこれは余計な話だがね。――その承知しない云
い草が、また大に論理的《ロジカル》なんだ。「志村さんが私にお惚れになったって、私....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
》が遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長
い草のはえた石段の上に、鴉の糞《ふん》が、点々と白くこびりついているのが見える。....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
。僕等も歩き出したのは勿論《もちろん》です。松林は路をあましたまま、ひっそりと高
い草を伸ばしていました。僕等の話し声はこの松林の中に存外《ぞんがい》高い反響を起....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
だけは心配でなりません。どうかこの姥《うば》が一生のお願いでございますから、たと
い草木《くさき》を分けましても、娘の行方《ゆくえ》をお尋ね下さいまし。何に致せ憎....
「或る女」より 著者:有島武郎
。庭の草などをつかんでいる時でも、ふと気が付くと葉子はしゃがんだまま一茎の名もな
い草をたった一本摘みとって、目に涙をいっぱいためながら爪《つめ》の先で寸々《ずた....
「僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
僕は慌《あわ》てて教室を飛び出しました。広い野原に来ていました。どっちを見ても短
い草ばかり生えた広い野です。真暗《まっくら》に曇った空に僕の帽子が黒い月のように....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
彼れは疎藪《ぼさ》の中に飛びこんだ。とげとげする触感が、寝る時のほか脱いだ事のな
い草鞋《わらじ》の底に二足三足感じられたと思うと、四足目は軟いむっちりした肉体を....
「星座」より 著者:有島武郎
落すにもこれ見よがしだ。あれで色気が出なかったら出る色気はない。中央寺の坊主のい
い草ではないが珍重珍重だ。おぬいさんがあのXの全量を誰かに滴らす段になってみろ…....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
響いた。フランシスの事になるとシッフィ家の人々は父から下女の末に至るまで、いい笑
い草にした。クララはそういう雑言を耳にする度に、自分でそんな事を口走ったように顔....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
はならないのが被衣……私は生前の好みで、白の被衣をつけることにしました。履物は厚
い草履でございます。 お爺さんは私の姿を見て、にこにこしながら『なかなか念の入....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
。僕はこの家を尋ねたことは前後にたった一度しかない。が、未だに門内か庭かに何か白
い草花の沢山咲いていたのを覚えている。 滝田君は本職の文芸の外にも書画や骨董を....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
コは親方の体にだきついて別れのあいさつをしました。 三 マルコは青
い草の道に立って手をあげながら荷車の一隊を見送っていました。荷車の親方も人足たち....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
前まで追いこめられる程の冬だ。それが春に変ると一時に春になる。草のなかった処に青
い草が生える。花のなかった処にあらん限りの花が開く。人は言葉通りに新たに甦って来....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
年前と少しも変らないものを発見した。それは両国駅の引込線をとどめた、三尺に足りな
い草土手である。僕は実際この草土手に「国亡びて山河あり」という詠嘆を感じずにはい....