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「お婆さん〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

お婆さんの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇遇」より 著者:芥川竜之介
、水際《みずぎわ》の柳や槐《えんじゅ》の陰に、その舟を見送っていたのである。 「お婆さん。」 「お爺さん。」 「まずまず無事に芝居もすむし、こんな目出たい事はな....
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
伐《せいばつ》を思い立った。思い立った訣《わけ》はなぜかというと、彼はお爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである。その話....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
終った後にも時々泣かずにはいられなかった。すると「王子の叔母さん」と云う或遠縁のお婆さんが一人「ほんとうに御感心でございますね」と言った。しかし僕は妙なことに感....
婦系図」より 著者:泉鏡花
着けて、主税は空腹だというのに。…… 「後姿に惚れたのかい。おい、もう可い加減なお婆さんだぜ。」 「だって貴郎にゃお婆さんでも、め組には似合いな年紀ごろだわ。ね....
追憶」より 著者:芥川竜之介
ていたころ、どこの長唄の女師匠は亭主の怨霊にとりつかれているとか、ここの仕事師のお婆さんは嫁の幽霊に責められているとか、いろいろの怪談を聞かせられた。それをまた....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
不意の笑声に一驚を吃して、和郎の顔と、折敷の団子を見|較べた。 「串戯ではない、お婆さん、お前は見懸けに寄らぬ剽軽ものだね。」 「何でござりますえ。」 「いいえ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
でも中気か何からしいんです――後家さんで、その妹さん、お稲ちゃんには叔母に当る、お婆さんのハイカラが取締って、あの娘の兄さん夫婦が、すっかり内の事を遣っているん....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
う麻殻の軸に巻いて売る、賑かな祭礼でも、寂びたもので、お市、豆捻、薄荷糖なぞは、お婆さんが白髪に手抜を巻いて商う。何でも買いなの小父さんは、紺の筒袖を突張らかし....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
か、あいの山。」 客は何思いけん手を頬にあてて、片手で弱々と胸を抱いたが、 「お婆さん、昔から聞馴染の、お杉お玉というのは今でもあるのか。」 「それはござりま....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
いうように、顔を上げてね、人の顔を視めてさ。目で承りましょうと云うんじゃないの。お婆さん、早附木を下さい、早附木を、といった、私の唇の動くのを、熟と視めていたッ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
「当地で黒百合のあるのはどこだとか言ったっけな。」 十八 「ねえ、お婆さん。」 お雪は、黒百合が富山にある、場所の答を、婆さんに譲って、其方を見....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
を鳴らし、牝鶏はクックッ鳴きたてはじめました。 「何だねえ、その騒ぎは。」 と、お婆さんは部屋中見廻して言いましたが、目がぼんやりしているものですから、子家鴨に....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
んが一人、商人らしい一人の亜米利加人と何か頻に話し合っていました。 「実は今度もお婆さんに、占いを頼みに来たのだがね、――」 亜米利加人はそう言いながら、新し....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
てるんでしょう、恐しく騒いでるから聞いてみると、銀次さん許の、あの、刺青をしてるお婆さんが湯気に上ったというものですから、世話をしてね、どうもお待遠様でした。」....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
宗匠と、行脚の坊さんと、容子がそっくりだった事も分りますし、跣足で路しるべをしたお婆さんの志、その後姿も、尊いほどに偲ばれます。――折からのざんざ降で、一人旅の....