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お銭
「お銭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
お銭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
夢中で二三|間駈け出すとね、ちゃらんと音がしたので、またハッと思いましたよ。
お銭を落したのが先方へ聞えやしまいかと思って。 何でも一大事のように返した剰銭....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
って御覧じゃりまし、川原に立っておりますが、三十人、五十人、橋を通行のお方から、
お銭の礫を投げて頂いて、手ン手に長棹の尖へ網を張りましたので、宙で受け留めまする....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
悪いのさ。何、上方筋の唐辛子だ、鬼灯の皮が精々だろう。利くものか、と高を括って、
お銭は要らない薬味なり、どしこと丼へぶちまけて、松坂で飛上った。……また遣ったさ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
」 とお源は袖を擦抜けて、俎板の前へ蹲む。 「それじゃ御新造かね。」 「そんな
お銭はありやしないわ。」 「じゃ、おかみさん。」 「あいよ。」 「へッ、」 と....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
小按摩一人肩の上で寝た処で、蟷螂が留まったほどにも思わない。冥利として、ただで、
お銭は遣れないから、肩で船を漕いでいなと、毎晩のように、お慈悲で療治をおさせにな....
「海異記」より 著者:泉鏡花
じゃ何だ、腰に鈴をつけて駈けまわるだ、帰ったら一番、爺様と相談すべいか、だって、
お銭にゃならねえとよ。」 と奴は悄乎げて指を噛む。 「いいえさ、今が今というん....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
店を並べた、山茱萸、山葡萄のごときは、この老鋪には余り資本が掛らな過ぎて、恐らく
お銭になるまいと考えたらしい。で、精一杯に売るものは。 「何だい、こりゃ!」 「....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
これですかい。」 「ちょいと遣っておくんな。」 「結構じゃありませんかね。」 「
お銭がなくっちゃあ不可ねえか、ここにゃ持っていねえんだが、可かったらつけてくんね....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
たものは、ただの一|人もなかったといいます。 あわれだとお思いなすって、母様が
お銭を恵んで、肩掛を着せておやんなすったら、じいさん涙を落して拝んで喜びましたっ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
の助平野郎《すけべいやろう》、とうに馬になって、それ馬市で銭《おあし》になって、
お銭《あし》が、そうらこの鯉に化けた。大好物で晩飯の菜になさる、お嬢様を一体何じ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の門附も利かない気で、へべれけの愛吉が意にさからい、価を払わなければ術は見せぬ、
お銭がなくっていて、それでたって凄い処を聞きたいなら、前に立って提灯は持たずとも....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、痩せた頬をふッくりと、凄いが優しらしい笑を含んで熟と視め、 「こりゃお前さん、
お銭にするね。」 「え、」 「旨く手繰って聞き出したら、天丼でも御馳走になるんだ....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
に、飛び飛びに、千鳥にかけて一軒一軒、何処でもおなじことを同一ところまで言って、
お銭をねだりますんでございますがね、暖い、ねんばりした雨も、その門附けの足と一緒....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
だと思いました。ですがね、これはお宅の風呂番が説破しました。何、竹にして売る方が
お銭になるから、竹の子は掘らないのだと……少く幻滅を感じましたが。」 主人は苦....
「故郷」より 著者:井上紅梅
ってね。荷拵えをした時、嵩張物は持運びに不便だから半分ばかり売ってみたがなかなか
お銭にならないよ」 こんな話をしたあとで母は語を継いだ。 「お前さんは久しぶり....