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かがり火
「かがり火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
かがり火の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
されぬものがあって山ふもとの薄明りの野に、一点の朱を留めていた。それは庭の祭りの
かがり火であった。神楽《かぐら》の音も聞えて来る。
かがり火は、薪木の性と見え....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
らしくない。船頭はこれまでにもそんな経験があるので、又お客様かといやな顔をした。
かがり火の光りでそれが男であることを知ると、彼はすぐに流そうとした。 「むかしの....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
囲んでいる織田軍を攻撃せんと云うのであった。ところが信長が二十七日の夜敵陣にたく
かがり火を見て、敵に進撃の気配あるを察し、それならばこちらから、逆撃しようと云う....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
もこ》として砂漠につづき、果ては遠く連山につながる。その砂漠に、軍兵の天幕の灯、
かがり火など、閃々《せんせん》としてはるかに散らばる。降るような星空の下。月はま....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
、チンチクリンの男の浴衣を、間に合せに着て、歩いているのもある。宿屋の店頭には、
かがり火をたき、白木の金剛杖をたばに組んで、縄でくくり、往来に突きだしてある。や....
「洪水大陸を呑む」より 著者:海野十三
祈りをあげているのが見えた。方々に、えんえんと火がもえあがっていた。神へささげる
かがり火か、それとも賊が民家に放った火か。ものすごい光景に、三四郎はたびたび目を....
「祇園の枝垂桜」より 著者:九鬼周造
ロディテの大理石像の観照に耽った時とまるで同じような気持である。炎々と燃えている
かがり火も美の神を祭っているとしか思えない。 あたりの料亭や茶店を醜悪と見る人....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
来た。そこらの家からも男や女が駈け出して行った。ばらばら松の下では二ヵ所ばかりの
かがり火を焚いて、大勢の人影が黒く動いていた。がやがや言いののしる人声が浪にひび....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
号は、世界中、どこの国の船員にもわかるのである。 やぐらができると、さっそく、
かがり火をたく支度をした。やぐらの下の砂山の上に、魚の骨、かめの甲、かれ草、板き....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
。たいこを打ちやめることなしに、広告屋は芝居小屋の入口にともっている二つの大きな
かがり火のまん中に位置をしめた。こうなると見物はただ、中にはいって場席を取れば、....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
った。 私たちも並んで欄干にとりついた。 やがて鵜船が幾艘となく下って来た。
かがり火があたり一面に赤く映えて、橋の上の群衆の顔がパッと明るく照り出された。大....
「吊籠と月光と」より 著者:牧野信一
出来るくらいにまざまざと判別出来るのだ。 「月のあるうちに急いで置かないと、後は
かがり火だけじゃ仕事が出来なくなるからな。」 「そうですとも、お父さん、七郎丸の....
「魔像」より 著者:林不忘
の家に避難して、いつの間にか、気のきいた者が襖障子を取り払い、縁に近い庭に仲間が
かがり火を焚《た》いて、屋内にも燭台を立てならべ、明々とかがやいてまるで白昼のよ....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
りあった。 この人外境に火の光が見えるッ。――鬼の火か? 又は蛮人の焚《た》く
かがり火か? 「怪しいわね。――」 ※代さんは、蒼くなって、ぶるぶる慄《ふる》....
「北海の白鳥」より 著者:小川未明
長く瞑目していました。 そのうちに日が暮れてしまいました。御殿の広い庭頭には、
かがり火がたかれました。その炎の影は、この怪しの占い者を照らし、空を焦がすかと思....