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がたぴし
「がたぴし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
がたぴしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
二階の間《ま》は電燈で昼間《ひるま》より明るく葉子には思われた。戸という戸が
がたぴしと鳴りはためいていた。板|葺《ぶ》きらしい屋根に一寸|釘《くぎ》でもたた....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
スになっている引戸を開けた。滑車がけたたましい音をたてて鉄の溝を滑《すべ》った。
がたぴしする戸ばかりをあつかい慣れている彼れの手の力があまったのだ。妻がぎょっと....
「活人形」より 著者:泉鏡花
。「苦、痛、ほんとに啖ついたな。この狂女め、と振払う、むしゃぶりつくを突飛ばす。
がたぴしという物音は皿鉢飛んだ騒動なり。 外に窺う、八蔵、銀平、時分はよしとぬ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
うように茶碗を圧えて、 「ね、古市へ行くと、まだ宵だのに寂然している。……軒が、
がたぴしと鳴って、軒行燈がばッばッ揺れる。三味線の音もしたけれど、吹さらわれて大....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
立つから、慌てて留める婆さんを、刎ね飛ばす、銚子が転がる、膳が倒れる、どたばた、
がたぴしという騒ぎ、お嬢さん、と呼んで取さえてもらおうとしても、返事もなけりゃ、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「ああ、きょうも降るかな」 鬱陶しそうに薄暗い空をみあげていると、表の格子を
がたぴしと明けて、幸次郎があわただしく飛び込んで来た。 「親分。起きましたかえ」....
「おせん」より 著者:邦枝完二
」 何が何やら、一|向見当が付かなくなった藤吉は、次の間に取って返すと、箪笥を
がたぴしいわせながら、春信が好みの鶯茶の羽織を、捧げるようにして戻って来た。 「....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
分|寒ましたろ、一瓶煖酒ましょか、と痒いところへよく届かす手は口をきくその間に、
がたぴしさせず膳ごしらえ、三輪漬は柚の香ゆかしく、大根卸で食わする※卵は無造作に....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
すと、石油臭い匂いが何時迄も手に残った。 のめりかけている藁屋根の隙間からも、
がたぴしゃじゅくした雨もよいに、真直ぐ空にものぼれず、ゆっくり横ひろがりになびい....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ざと、音をたてるんだよ、な、ほら、こういうふうにしてへえるんだ」 いいざまに、
がたぴしと戸を繰りあけて、鼻先をつままれてもわからないようなまっくらな座敷へどん....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
つ》いて参りました。音をさせまいと思えば、嫌《いや》に畳までが鳴りまして、余計に
がたぴしする。生憎《あいにく》敷居には躓《つまず》く。耳には蝉《せみ》の鳴くよう....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
なっていた。 教室の方からは、先生や上級の児童たちが、大声で叫びかわしながら、
がたぴしと物を動かしている音が、ひっきりなしに聞えて来る。 「爺さんはどこにいる....
「桜の園」より 著者:神西清
涙ぐんで)ああ早く、こんなことが過ぎてしまえばいい。なんとかして早く、今のような
がたぴしした、面白くもない生活が、がらりと変ってしまえばいい。 ピーシチク (彼....
「花燭」より 著者:太宰治
居れ、と言われた。かれは、その飲食店の硝子《ガラス》戸をこじあけるのに苦労した。
がたぴしして、なかなかあかないのである。あまの岩戸を開《あ》けるような恰好して、....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
だ。長屋の嬶にお情もくそもあるものか。自惚ちゃいけねえ。」とすさんだ口調で言い、
がたぴし破戸をあけて三人を招き入れ、「座蒲団なんて洒落たものはねえぞ。お茶くらい....