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きちきち
「きちきち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
きちきちの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
まま、饂飩屋の半白頭は、どっち付かず、鼬のような面を着て、これが鉦で。 時々、
きちきちきちきちという。狐はお定りのコンを鳴く。狸はあやふやに、モウと唸って、膝....
「河明り」より 著者:岡本かの子
で上った。粘って青臭い護謨の匂いが、何か揮発性の花の匂いに混って来る。 壁虎が
きちきち鳴く、気味の悪い夜鳥の啼き声、――夕食後私はヴェランダの欄干に凭れた。私....
「わが町」より 著者:織田作之助
里では魚も食べさせて貰えなかったのかと、他吉はほろりとして、 「取るもんだけは、
きちきち取りくさって、この子をそんな目に会わしてけつかったのか」 と、そこらあ....
「わが町」より 著者:織田作之助
、里では魚も食べさせて貰えなかったのかと、他吉はほろりとして、 「取るものだけは
きちきち取りくさって、そんな目に会わしてやがったのか。」 と、そこらあたり睨み....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
礎は狭し、どの方角から吹く風をも正面に受けて揺れるわ揺れるわ、旗竿ほどに撓んでは
きちきちと材の軋る音の物凄さ、今にも倒れるか壊れるかと、円道様も為右衛門様も胆を....
「黴」より 著者:徳田秋声
そのなかからいくらかずつ割いて贈ることも怠らなかった。 「これからは金もちっとは
きちきち送らなけア……。」 笹村は頷いたが、汽車が国境を離れるころには、自分の....
「縮図」より 著者:徳田秋声
の土地へ来てから、月々二三十円ずつ仕送りをしており、それを倉持に話すと、 「そう
きちきち毎月送らん方がいいよ。お父さんまだ働けん年でもないんだろう。君を当てにし....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
が云う。 「そうか」と宗近君がまた答えた。 あとは静かになる。机の上の置時計が
きちきちと鳴る。 「金時計も廃《よ》せ」 「うん。廃そう」 甲野さんは首を壁に....
「通り雨」より 著者:宮本百合子
う一台だけ入れないかい? 「どうして入れるもんかい、馬鹿な。 来て見ろよ、もう
きちきちだよ、 そこで出来るだろう。 向うの窓をあけて私の部屋の廂を見る。....
「日記」より 著者:宮本百合子
月九日(土曜) 起きぬけに文房堂と東京堂とに買物に行く。かえって仕度をしたら、
きちきちになって仕舞った。上野へ着いたら、十五分前になって居る。道男が待ちくたび....
「農村」より 著者:宮本百合子
掻き出して居る。 牛はまだ出て居ない。午前中は出さないものと見える。狭い土面を
きちきちに建ててある牛舎には一杯牛が居る。私の幼《ちい》さい時から深い馴染のある....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
臭いを嗅いでみたり、光線に透かしてみたり、硝子の栓を瓶と合わせてみたり、又は鋏を
きちきち合わせてみたりなぞ、無用の努力を五六分間繰返しながら、内心では色々と推理....