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「ご免〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

ご免の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
水の三日」より 著者:芥川竜之介
は、能代塗の臭い箸が一膳で一組である。こいつだけは、僕なら、いくら籤に当っても、ご免をこうむろうと思う。 砂岡君と国富君とが、読み役で、籤を受取っては、いちい....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
に、その柄で弾くようにして、仄のりと、薄赤い、其屋の板障子をすらりと開けた。 「ご免なさいよ。」 頬被りの中の清しい目が、釜から吹出す湯気の裏へすっきりと、出....
縁結び」より 著者:泉鏡花
優い顔で、 「ご遠慮なく……私は清川謙造です。」 と念のために一ツ名乗る。 「ご免下さいまし、」 はらりと沈んだ衣の音で、早入口へちゃんと両手を。肩がしなや....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
か」 馭者は傲然《ごうぜん》として、 「そんなものは要《い》らんよ」 「おや、ご免なさいまし。さあ、お掃除《そうじ》ができたから、一服|戴《いただ》こう」 ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
心づけに、手も触れない。 この世話方の、おん袴に対しても、――(たかが半円だ、ご免を被って大きく出ておけ。)――軽少過ぎる。卓子を並べて、謡本少々と、扇子が並....
高野聖」より 著者:泉鏡花
というさえ助《たすけ》を呼ぶような調子で、取縋《とりすが》らぬばかりにした。 (ご免《めん》なさいまし、)といったがものもいわない、首筋をぐったりと、耳を肩で塞....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
そうだ。そうじゃない、心で、お絹さんを……」 「私をえ?」 「幽霊にしましたよ。ご免なさいよ。殺した事があるんだから。」 「あんたはんがな。」 前髪がふっくり....
雪柳」より 著者:泉鏡花
盃をちょっと控えた。 「――雪の家、……雪の家というその待合です―― (今日は、ご免下さい。) あなた方はそうした格子戸を開けて、何といって声をお掛けになりま....
太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
「貴艦の武運と天佑を祈る」 「ありがとう存じます。それでは直に行動に移ります。ご免ッ」 電話機はガチャリと下に置かれました。 (よオし、やるぞッ!) 艦長....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
ようとすると、そこに大きな男が立っていまして、危ぶなく突き当るところでした。 『ご免ん遊ばせ』 軽く云ってすれ違いながら、ふとその男の顔を見たんです。黒い大き....
河明り」より 著者:岡本かの子
応じて来るものだ。私が水辺に家を探し始めてから二ヶ月半かかっている。 二三度「ご免下さい」と云ったが、返事がない。取り付きの角の室を硝子窓から覗くと、薄暗い中....
」より 著者:岡本かの子
を引すぼめ、 ――えっ。 ――まあよろしい、早く行きなさい。 ――では、お二方、ご免遊ばせ。 女去る ――呆れたな君は。狐を一晩引張り込む約束をするなんて、物好....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
くら僕が寂しかろうといって、むやみに、お嫁さんの候補者なんか送りつけたりするのはご免蒙りますよ。やり兼ねないからね。いくらお母さんの世話でも、全くこれだけは断り....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
のど》仏がゆっくり生唾を飲むのが感じられた。 彼女は眼を裂けるように見開いて「ご免なさい」と泣声になって云ったが、柚木はまるで感電者のように、顔を痴呆にして、....
お住の霊」より 著者:岡本綺堂
した。おやッと思う中に、その女はスルスルと枕辺へ這って来て、どうぞお助け下さい、ご免なすッて下さいと、乱れ髪を畳に摺付けて潜然と泣く。その姿の悲惨しいような、怖....