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しどろ
「しどろ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
しどろの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
と粟野さんに売文の悲劇を弁《べん》じたことである。彼はまっ赤《か》になったまま、
しどろもどろに言い訣《わけ》をした。
「いや、実は小遣《こづか》いは、――小遣い....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
とく、度《ど》を失った若者の心を一言毎《ひとことごと》に打ち砕いた。彼はとうとう
しどろもどろに、美貌の若者が勧《すす》める通り、琅※と珊瑚と取り換えた上、礼には....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
まだ十合《じゅうごう》と刃《は》を合わせないうちに、見る見る、鉾先《ほこさき》が
しどろになって、次第にあとへ下がってゆく。それがやがて小路のまん中まで、切り立て....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
それから休憩時間の喇叭《らっぱ》が鳴るまで、我《わが》毛利先生はいつもよりさらに
しどろもどろになって、憐《あわれ》むべきロングフェロオを無二無三《むにむさん》に....
「或る女」より 著者:有島武郎
せないほどの高みに自分を持ち上げてしまっていた。落ち目になった夫人は年がいもなく
しどろもどろになっていた。恐ろしいほどやさしく親切に葉子をあしらうかと思えば、皮....
「或る女」より 著者:有島武郎
りになるんですってね」
岡はそのころになってようやく自分を回復したようだった。
しどろもどろになった考えや言葉もやや整って見えた。愛子は一度しげしげと岡を見てし....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
まで来た。そして彼らの方に二十二、三に見える一人の青年が夢遊病者のように足もとも
しどろとして、石畳から眼をはなして、自分を囲むいくつかの酒にほてった若い笑顔を苦....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
生気を失って来たらしく、だんだんに力なく、空虚になって、疲労と酒糟に酔ったように
しどろもどろになって、言葉と言葉とのあいだに大空間と大暗黒とを暗示したような黒い....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
くのに、従って歩行くものを、(どこへ行く。)は情ない。散々の不首尾に、云う事も、
しどろになって、 「散歩でございます。」 「わざわざ、ここの縁日へ出て来たのか。....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
き、その顔を差俯向け、しとやかに手を支いた。 「は、は、はじめまして、」 と、
しどろになって会釈すると、面を上げた寂しい頬に、唇|紅う莞爾して、 「前刻、憚へ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
進藤延一、へい、変に学問をしたような、ハイカラな名じゃねえか。」 と言葉じりも
しどろになって、頤を引込めたと思うと、おかしく悄気たも道理こそ。刑事と威した半纏....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、そうすれば、まさかに人違いをするようなことはなかったろう。」 平生に似ず言も
しどろで、はじめの気焔が、述懐となり、後悔となり、懺悔となり、慚愧となり、果は独....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
かかって、胸に千条の鮮血。 「あ、」 と一声して、ばったり倒れる。人目も振も、
しどろになって背に縋った。多一の片手の掌も、我が唇を圧余って、血汐は指を溢れ落ち....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
る。 「省さん、あとから手紙で申し上げますから、今夜は思うさま泣かしてください」
しどろもどろにおとよは声を呑むのである。省作はとうとう一語も言い得ない。 悲し....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
ない。それに、あれはおれの持ちものではなくて、ここで拾ったものだ」 ガスコは、
しどろもどろの返答をしながら、目を横に走らせて三根夫をにらみつけた。 あの三根....