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しんと
「しんと〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
しんとの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
のほうを見ながら、たくみに本のかげにかくれてこそこそ内緒話をしている。教室全体が
しんとしているのに、ひそかにぶつぶついう声がみなぎっているのだ。ところが突然その....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
肝腎の部屋の中は、まだ香炉に蒼白い火がめらめら燃えているばかり、人気のないように
しんとしています。 遠藤はその光を便りに、怯ず怯ずあたりを見廻しました。 す....
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
に見た芸者屋町《げいしゃやまち》。お座敷へ出る芸者が二人《ふたり》ある御神燈《ご
しんとう》のともった格子戸《こうしど》を出、静かにこちらへ歩いて来る。どちらも何....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
相手の顔は依然として微笑しながら、鷹揚《おうよう》に頷《うなず》いた。幕営の外は
しんとしている。遠くで二三度、角《かく》の音がしたほかは、馬の嘶《いなな》く声さ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
あるドクトルに誘われて、丁度|於伝仮名書《おでんのかなぶみ》をやっていた新富座《
しんとみざ》を見物に行きますと、丁度向うの桟敷《さじき》の中ほどに、三浦の細君が....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
でございますから、その心細さと云ったらございません。その上あたりは墓の中のように
しんと静まり返って、たまに聞えるものと云っては、ただ罪人がつく微《かすか》な嘆息....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
のない返事で応じた事は、勿論である。すると相手は、嘲るような微笑をちらりと唇頭《
しんとう》に浮べながら、今度は静な口ぶりで、わざとらしく問いかけた。
「君は僕の....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
》にひき入れられたのか、しばらくの間は御姫様を始め、私までも口を噤《つぐ》んで、
しんとした御部屋の中には藤の花の※《におい》ばかりが、一段と高くなったように思わ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
所だと申すではございませんか。」
この言葉を聞くと共に、一時静まっていた心頭《
しんとう》の怒火《どか》が、また彼の眼の中に燃えあがった。
「高天原の国か。高天....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
ながら、その儀ばかりは。」
「いかぬか。」
二人は、顔を見合せながら、黙った。
しんとした部屋の中には、油を吸う燈心の音よりほかに、聞えるものはない。――宇左衛....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
かしたまま、小ゆるぎをするけしきはない。まして、両側に建て続いた家々は、いずれも
しんと静まり返って、その板蔀《いたじとみ》や蒲簾《かますだれ》の後ろでは、町じゅ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
斗の星が、茶碗程の大きさに光っていました。元より人跡の絶えた山ですから、あたりは
しんと静まり返って、やっと耳にはいるものは、後の絶壁に生えている、曲りくねった一....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
ひものもう色がさめたのにぶらりと長くさがったのがなんとなくうらがなしい。寺の内は
しんとして人がいそうにも思われぬ。その右に墓場がある。墓場は石ばかりの山の腹にそ....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
の口へこみ上げて来る。が、苦しみは少しもない。ただ胸が冷たくなると、一層あたりが
しんとしてしまった。ああ、何と云う静かさだろう。この山陰《やまかげ》の藪の空には....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
反対の側には月がまだ残っていた。七日ばかりの月で黄色い光がさびしかった。あたりは
しんとしている。死のしずけさという思いが起ってくる。石をふみ落すとからからという....