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しんみり
「しんみり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
しんみりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死後」より 著者:芥川竜之介
いかわらず》静かに寝入っているらしかった。けれども夜はもう白みかけたと見え、妙に
しんみりした蝉《せみ》の声がどこか遠い木に澄み渡っていた。僕はその声を聞きながら....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
その秘密を知って以来、母は捨児の私には、母以上の人間になりましたから。」
客は
しんみりと返事をした。あたかも彼自身子以上の人間だった事も知らないように。
(大正九年七月)....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
やらあなたの現世の生活も、なかなか楽なものではなかったようで……。』 いかにも
しんみりと、溢るるばかりの同情を以て、何くれと話しかけてくださいますので、いつの....
「或る女」より 著者:有島武郎
から出た伝言の文句はたいてい聞きもらしていたくせに、空々《そらぞら》しげにもなく
しんみりとした様子で、
「確かに……けれどもあなたあとから手紙ででも詳しく書いて....
「或る女」より 著者:有島武郎
の可憐《かれん》な同じ口びるから、こんな哀れな告白を聞くと葉子は一入《ひとしお》
しんみりした心持ちになった。
「わたしだってもよ。貞《さあ》ちゃんは宵《よい》の....
「親子」より 著者:有島武郎
齷齪とこの年になるまで苦労しているのもおかしなことだが……」 父の声は改まって
しんみりとひとりごとのようになった。 「今お前は理想屋だとか言ったな。それだ。俺....
「星座」より 著者:有島武郎
といわなければならない」
淋しい道路に折れ曲るときゅうに歩度をゆるめた柿江は、
しんみりした気持になってこう自分にいい聞かせた。彼は始めて我に返ったように、いわ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
来な、それ、お賽銭をあげる気で。) と滝縞お召の半纏着て、灰に袖のつくほどに、
しんみり聞いてやった姉さんが、長火鉢の抽斗からお宝を出して、キイと、あの繻子が鳴....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、ああ、堪らねえ腰附だ。) (可厭……知りませんよ。) と向直ると、串戯の中に
しんみりと、 (あれ、ちょっと待って下さいまし。いま目をふさいで考えますと、お許....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
お祝いだったら、とお源坊が涙ぐんだしおらしさに。お前さん、有象無象が声を納めて、
しんみりとしたろうじゃねえか。戦だね。泣くやら、はははははは、笑うやら、はははは....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
話中に悚気としたよ。 黒門の別荘とやらの、話を聞くと引入れられて、気が沈んで、
しんみりと真心から念仏の声が出ました。 途中すがらもその若い人たちを的に仏名を....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
て》、こうしてはおられませぬから、と辞《ことわり》をいって、やれ泣くでねえぞ、と
しんみり子供にいい聞かせて病人を置いて行った。
後には子供一人、その時が、戸長....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
もあたらして下さいまし、そうまずくはありませんや、剃刀だけは御用に立ちます。」と
しんみりする。 「涼しくなったら可かろうと思うよ、今夜あたりは余程心持が可いよう....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
このくらいなことじゃないんですよ、もっともっと変っておいでなすったんですよ。」と
しんみり言う。 ほぼその幼馴染とでもいッつべき様子を知って、他人には、堅く口を....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
山へのぼって、尼寺をおたずねなすッて、炉の中へ何だか書いたり、消したりなぞして、
しんみり話をしておいでだったが、やがてね、二時間ばかり経ってお帰りだった。ちょう....