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そぐ
「そぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
そぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《アムウル》の相手として、私が想像に描いていた新夫人に比べると、どこかその感じに
そぐわない所があるのです。もっともこれはどこかと云うくらいな事で、私自身にもその....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いらっしゃいましたから、それだけまた御二方《おふたかた》の御仲《おんなか》にも、
そぐわない所があったようでございます。これにも世間にはとかくの噂がございまして、....
「或る女」より 著者:有島武郎
まりともわからぬ一種の調子が塩さびた声であやつられるのが、事務長の人となりによく
そぐって聞こえる。葉子はそんな事を思いながら事務長の言葉を聞き終わると、始めては....
「或る女」より 著者:有島武郎
ょっとのぞかせた、燃えるような緋《ひ》の帯上げのほかは、ぬれたかとばかりからだに
そぐって底光りのする紫紺色の袷《あわせ》、その下につつましく潜んで消えるほど薄い....
「旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
した。 夕方、たいへんいやなお天気になりました。どこか宿をさがそうとおもってい
そぐうち、夜になりました。でもどうやら、小山の上にぽっつり立っているちいさなお寺....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
る。回教徒が夕日を礼拝するように仏教徒は夕日にあこがれ、西方に金色の寂光が降りそ
そぐ弥陀の浄土があると考えている。日蓮聖人が朝日を拝して立宗したのは、真の日本仏....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の無いばかり、あの皿は何んだ、へッへッ、生首|二個受取ろうか、と言いそうな、が、
そぐわないのは、頤に短い山羊髯であった。 「御免なせえ……お香のものと、媽々衆が....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
いや、小児等は一すくみ。 あの顔一目で縮み上る…… が、大人に道徳というは
そぐわぬ。博学深識の従七位、花咲く霧に烏帽子は、大宮人の風情がある。 「火を、よ....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
せんかった。それは驚いたわけではない、恐かったわけではない。鮟鱇にしては少し顔が
そぐわないから何にしよう、何に肖ているだろう、この赤い鼻の高いのに、さきの方が少....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
じゃ。 ――うたいつつ幕|開く―― 侍女五人。桔梗、女郎花、萩、葛、撫子。各名に
そぐえる姿、鼓の緒の欄干に、あるいは立ち、あるいは坐て、手に手に五色の絹糸を巻き....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
御手洗は清くて冷い、すぐ洗えばだったけれども、神様の助けです。手も清め、口もそ
そぐ。……あの手をいきなり突込んだらどのくらい人を損ったろう。――たとい殺さない....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
休め、という処だ。ここは構わないで、湯にでも入ったら可かろうと、湯治の客には妙に
そぐわない世辞を言うと、言に随いて、ではそうさして頂きます、後生ですわ、と膠もな....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
である。従って女の口を洩るる点々の血も、彼処に手洗水に湧く水脈に響いて、緋葉をそ
そぐ滝であった。 「あ。」 「痛い、刺って、」 「や、刺か。」 獣の顔は離れた....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
が堂の棟を隠すだけにのびたらばと思う。 姉がまず水をそそいで、皆がつぎつぎとそ
そぐ。線香と花とを五つに分けて母の石塔にまで捧げた。姉夫婦も無言である、予も無言....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
て厳格な監督者である威厳を示そうとするその二つのものが、登志子の目には始終極端に
そぐわぬものになって極めて不自然に滑稽に見えた。彼女はひとりでその叔父の真面目く....