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てんで
「てんで〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
てんでの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂女」より 著者:秋田滋
歩かせる算段をするからな」 しかし彼女は身動きひとつしなかった。相手の姿などは
てんで眼中にないかのように、例によって例のごとく、じいッとしたままだった。 こ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いからむずと組みついたのとが、ほとんど同時でございます。するとほかの盗人たちも、
てんでに太刀を鞘におさめて、まるで蝗《いなむし》か何かのように、四方から平太夫へ....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
そうもない、不思議な術を使って見せてくれ給え。」
友人たちは皆賛成だと見えて、
てんでに椅子をすり寄せながら、促すように私の方を眺めました。そこで私は徐《おもむ....
「美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
ユウリツプ、チユウリツプ、きいたやうな名だが……。』と二三度口の中で繰返したが、
てんで、どんな花だか見当さえつかなかつた。 といつて今更、なんでも出来ると豪語....
「或る女」より 著者:有島武郎
り》の乗客を苦々《にがにが》しげに見やりながら、左手を延ばして待っていた。二人が
てんでんに切符を出そうとする時、
「若奥様、これをお忘れになりました」
といい....
「或る女」より 著者:有島武郎
やかなひとみでじろりと見返してやりたいような気になった。倉地は始めからそんな事は
てんでしなかった。大きな駄々児《だだっこ》のように、顔を洗うといきなり膳《ぜん》....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
尋置きに本縄から下がった針に餌をつけるのに忙しい。海の上を見渡すと、港を出てから
てんでんばらばらに散らばって、朝の光に白い帆をかがやかした船という船は、等しく沖....
「親子」より 著者:有島武郎
人に対してのあなたの態度なども、お考えになったらあなたもおいやでしょう。まるでぺ
てんですものね。始めから先方に腹を立てさすつもりで談判をするなどというのは、馬鹿....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
野郎が有難い事を云ったってかんかん虫手合いは鼾をかくばかりで全然補足になら無えっ
てんで、工場長開けた事を思いつきやがった、女ならよかろうてんだとよ。 二人来や....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
ぜひ展覧会に出品したらというんだが、奴、つむじ曲がりで、うんといわないばかりか、
てんで今の大家なんか眼中になく、貧乏しながらも、黙ってこつこつと画ばかり描いてい....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
とおかあさんはいのりました。 と黒鳥の歌が松の木の間で聞こえるとともに馬どもは
てんでんばらばらにどこかに行ってしまって、四囲は元の静けさにかえりました。 そ....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
だかわかるから。」 詩人はあたまをふりました。書記も同様にあたまをふりました。
てんでにじぶんじぶんの意見をいい張って、そのままふたりは別れました。 「どうも詩....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
りました。やがてお日さまがのぼると、おにいさまたちははくちょうのすがたに変って、
てんでんくちばしで網のさきをくわえました。そうして、まだすやすやねむっている、か....
「ひこうかばん」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
もい立ったのも、むりはありません。 さて、どんな話をしていたでしょうか。それは
てんでんがちがったことをいって、ちがった見方をしていました。けれども、なにしろた....
「もみの木」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ひっくりかえされたことでしょう。 こどもたちは、もぎ取ったりっぱなおもちゃを、
てんでんにもって、おどりまわりました。ですからたれひとり、もう木をふりかえって見....