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とんと
「とんと〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
とんとの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂人日記」より 著者:秋田滋
の間には何のつながりも無い。地上にうごめく生命の一片。しかも、どこから来たのか、
とんと見当がつかぬその生命の一片は、思いのままに滅ぼすことが出来るのだ。滅ぼせば....
「運」より 著者:芥川竜之介
しょう。うとうと眠気がさして来ても、その声ばかりは、どうしても耳をはなれませぬ。
とんと、縁の下で蚯蚓《みみず》でも鳴いているような心もちで――すると、その声が、....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
で、いつになったら彼の所謂《いわゆる》『愛《アムウル》のある結婚』をするのだか、
とんと私たち友人にも見当のつけようがありませんでした。
「ところがその中に私はあ....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
からざっと二十年ばかり以前、私はある思いもよらない出来事に出合いまして、その結果
とんと私にも私自身がわからなくなってしまいました。つきましては、先生のような倫理....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
別お好みになりませんか。」
「いや私《わたし》は、どうもああいうものにかけると、
とんと無器用でね。もっとも一時はやったこともあるが。」
「そりゃ御冗談で。」
「....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
は時々|眉《まゆ》をひそめ、こう云う武夫を睨《にら》んだりした。しかし武夫はきょ
とんとしたまま、わざと大仰に茶碗《ちゃわん》の飯を掻《か》きこんで見せたりするだ....
「黄粱夢」より 著者:芥川竜之介
察御史《かんさつぎょし》や起居舎人《ききょしゃじん》知制誥《ちせいこう》を経て、
とんとん拍子に中書門下《ちゅうしょもんか》平章事《へいしょうじ》になりましたが、....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
しに先刻の無礼を詫《わ》びました。しかし先刻の無礼と申すのは一体何のことなのか、
とんとわからぬのでございまする。また何かと尋ねて見ても、数馬は苦笑《にがわら》い....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
は、思召しにかなう所か、すぐに本性《ほんしょう》を御見透《おみとお》しになって、
とんと御寵愛《ごちょうあい》の猫も同様、さんざん御弄《おなぶ》りになった上、二度....
「葱」より 著者:芥川竜之介
の簪《かんざし》をさして、白いエプロンをかけて、自働ピアノの前に立っている所は、
とんと竹久夢二《たけひさゆめじ》君の画中の人物が抜け出したようだ。――とか何とか....
「母」より 著者:芥川竜之介
って来る。
その内にふと女の膝《ひざ》から、毛糸の球《たま》が転げ落ちた。球は
とんと弾《はず》むが早いか、一筋の赤を引きずりながら、ころころ廊下《ろうか》へ出....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
す。しかし実はわたくしを始め、鬼が島の鬼はあなた様にどういう無礼を致したのやら、
とんと合点《がてん》が参りませぬ。ついてはその無礼の次第をお明《あか》し下さる訣....
「竜」より 著者:芥川竜之介
さゆう》叔母の尼の案内がてら、つれ立って奈良の寺々を見物して歩いて居ります間も、
とんと検非違使《けびいし》の眼を偸《ぬす》んで、身を隠している罪人のような後《う....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
どは市ヶ谷監獄へぶち込まれた。監獄に入ったものの何の理由で、いつまでおかれるのか
とんと分らない。いまから考えると全く無茶な話だ。当時市ヶ谷には堺利彦、徳田球一、....
「或る女」より 著者:有島武郎
士に夫人はちょっと頭を下げておいて、みんなに聞こえるほどはっきり澄んだ声で、
「
とんと食堂においでがなかったので、お案じ申しましたの、船にはお困りですか」
と....