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ひと口
「ひと口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
ひと口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「転機」より 著者:伊藤野枝
して忍ばねばならなかったかを思えば、「不公平を受ける奴は意気地がないからだ」と、
ひと口にいい切ってしまうことがどうしてできよう? 私達はまだ、どんな不当な屈辱を....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
へ入れないように、早く、早く」 「ジャニイ、気をしずめなさい。ほら、これをぐっと
ひと口のんでごらん。ずっと気分がしずまるから」 ホールがうろうろしながら、気つ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
渡り下手で少しもお上手を知らなかったので、あながち義理知らずばかりでもなかった。
ひと口にいうと馬琴は無調法者だった。口前の上手な事をいうのは出来なかったよりも持....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
も身上も出来てみれば、出来のいい品のある子供が欲しいです。うちに一人ありますが、
ひと口に云うとから駄目なのです。人を扱いつけてる職業ですから私にはすぐ判ります。....
「穴」より 著者:岡本綺堂
、父は再び現場へ引っ返したが、さてその穴がどの辺であったか容易に判らなくなった。
ひと口に空地といっても、ここだけでも四百坪にあまっていて、そこら一面に高い草が繁....
「鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
くに鰻を釣りあげたのが因果で、例の癖がむらむらと発して、人の見ない隙をうかがって
ひと口に食べてしまうと、又あいにくに私がそれを見付けたので……。つまり双方の不幸....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
た。采女も侍従ももう争う気力もないらしく、唯おめおめとそのあとに引かれて行った。
ひと口に中国筋といっても、果たしてどこへ連れて行かれるのか、三人は勿論知らなかっ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、ほとんど今日の少年または青年諸君の想像し得られないような不体裁のものであった。
ひと口に麹町小学校出身者と云いながら、巌谷小波氏やわたしの如きは実は麹町小学校と....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
は通らないのですけれども、折角そういうもんですから、六三郎は仕方なしに味淋の杯を
ひと口なめて下に置きました。 吉五郎は大勢の親分と立てられている人だけに、人間....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
切りをつけ、その目前の仕事を終わるまではけっして口をきかないというふうであった。
ひと口にいえば、彼はこういう仕事をする人としては、その資格において十分に安心ので....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
と同じように、瞬きもしないで相手の顔を見つめていると、安井君はコップのサイダーを
ひと口飲んでまた話しつづけた。 「五千弗という金に眼が眩れた訳でもないんですが、....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ぼした影響とを、いささかなりともお伝え申すことが出来れば、本懐の至りに存じます。
ひと口に小説筆記と申しましても、その範囲があまりに広汎になりますので、こんにちは....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
り、それから北国へはいって、越後路から金沢、富山などを廻って岐阜へまいりました。
ひと口に申せばそうですが、そのあいだに、足掛け三年の月日が経ちまして、旅先ではい....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
もてがやや寂しく見えるようでした。 山岸は三十前後で、体格もよく、顔色もよく、
ひと口にいえばいかにも男らしい風采の持主でした。その上に、郷里の実家が富裕である....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るまい。彼が再びこの店先に立たないのをみると、やはりそれは真実の予言で、彼は夫が
ひと口に貶してしまったような商売ずくの卑しい売僧ではないと思われた。店の者にも注....