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ひと息
「ひと息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
ひと息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
来た時には食事もおしまいになったと思え」と云う夫の言葉を思い出した。しかしやっと
ひと息ついたと思うと、今度は三鞭酒《シャンパン》の杯《さかずき》を挙げて立ち上ら....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
を苦にし出しました。従って突然M子さんの「もう帰りましょう」と言った時にはほっと
ひと息ついたものです。M子さんは晴れ晴れした顔をしたまま、僕等の何《なん》とも言....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
合わせて、船の胴腹にはい上がるようにしたので、船は一方にかしぎ始めた。 「それ今
ひと息だぞっ」 君の父上がしぼり切った生命を声にしたように叫んだ。一同はまた懸....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
ら、ゆっくり話したらどうだい」 やがて、熱いコーヒーがはこぼれ、わかい船のりは
ひと息つくと、まだこうふんのさめないようすで話しだした。 「おどろいたの、なんの....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
ら、ハイロにたずねなおせばいいであろうと、三根夫はがまんした。そして残りの階段を
ひと息にのぼり切っていよいよ一番高いところに立った。それは、丸い小天井がはまって....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
って来た。 東屋氏は、双眼鏡を持って、グルグルと水平線を見廻していたが、やがて
ひと息つくと、水上署長へ、 「昨晩お訊ねしたあの釧路丸の最高速度ですね。あれは、....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
いなかったとすると、いったい何処へ行っていたんだ」 「さア、それですよ」と技師は
ひと息して、「ここでもう一つの他の事実を、そこまで進んだ新らしい目で見ます。……....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
一 岸田直介が奇怪な死を遂げたとの急報に接した弁護士の大月対次は、恰度忙しい事務も
ひと息ついた形だったので、歳若いながらも仕事に掛けては実直な秘書の秋田を同伴して....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
。 巴里へ行きますと、沢山ある珈琲店で、香り高い珈琲のコップを前に控え、人々は
ひと息、息を入れています。珈琲の容器が柄の付いた縦に細長いシークなコップで、それ....
「麻畑の一夜」より 著者:岡本綺堂
よると、その猿は恐ろしい力で、まず寝ている人間の胸の骨をぐっと押すと、骨は砕けて
ひと息に死んでしまう。それを易々と担いで行くんだということです。たとい
ひと息に死....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
か。」 「おお、わしにくれ。」 手負いの新九郎はその甕をうけ取って、甕の口から
ひと息にこころよく飲み干してしまった。かれらの前に燃えている焚火も、もうだんだん....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
四 藤木博士がここまで話して来た時に、夜の雨がまたおとずれて来た。博士は
ひと息ついて、わたしの顔を暫く眺めていた。 「どうです。これだけの話では格別おも....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
た時には、このごろの長い日ももう暮れ切っていた。風呂へはいって汗をながして、まず
ひと息つくと、左の脾腹から胸へかけて俄かに強く痛み出した。鯉か鱸か知れない魚に撲....
「火薬庫」より 著者:岡本綺堂
つんだ雑木林の丘は、砂のように白く流れて行く雲の下に青黒く沈んでいた。特務曹長は
ひと息ついて又語り出した。 「なにしろ、大尉の服装をした人間が火薬庫の付近を徘徊....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ず自分の居どころが決まると、携帯の荷物をかたづけて、型のごとくに入浴する。そこで
ひと息ついた後、宿の女中にむかって両隣りの客はどんな人々であるかを訊く。病人であ....