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ひ弱
「ひ弱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
ひ弱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ア、秋」より 著者:太宰治
である。
トンボ。スキトオル。と書いてある。
秋になると、蜻蛉《とんぼ》も、
ひ弱く、肉体は死んで、精神だけがふらふら飛んでいる様子を指して言っている言葉らし....
「春の盗賊」より 著者:太宰治
ろを浴びて、まぎれもなかった。頸《くび》がひょろひょろ長く、植物のような感じで、
ひ弱く、感冒除《かんぼうよ》けの黒いマスクをして、灰色の大きすぎるハンチングを耳....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
の小径は、毛莨《きんぽうげ》や釣鐘草《つりがねそう》や簪草《かんざしぐさ》などの
ひ弱い夏花や、鋭い棘のある淫羊※《いかりそう》、空木《うつぎ》などの丈《たけ》低....
「さようなら」より 著者:田中英光
斑《そばかす》で、化粧も棒紅が唇の外にはみだすほどグイとひく乱暴さだったが、外見
ひ弱そうな肉体が裸になると撓やかで逞ましいのも好きだったし、常に濡れているような....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
逆気だろう。あの太陽に向って喧嘩をしかけるとは。それにしてはお前の身体はあまりに
ひ弱すぎる。 「お前は結局自分の反逆気に焼かれて死ぬより外はないのだ。」 私が....
「坂田の場合」より 著者:豊島与志雄
たて、次には、妹の健気な気性をほめ、次には、母親の病気のことや、幼児をかかえてる
ひ弱な妻のことなど、困窮な家庭生活の内面を曝露するのだった。 鮨屋から出て、も....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
った。――それはルイザの兄であった。 彼はルイザと同じく小柄で、痩《や》せて、
ひ弱で、少し猫背《ねこぜ》だった。年齢はよくわからなかった。四十歳を越してるはず....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。ごく質素な服装をし、たいていいつも喪服をまとい、背もそう高くなく、細そりして
ひ弱な様子で、ほとんど口もきかず、人込みの中をこっそり歩いて、人の注意を避けてい....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
祈りおりまする。そして、舷側の砲列が役立たぬようにとな」 火器のない、この島の
ひ弱い武装を知る弟は、ただただ、迫り来たった海戦におびえるばかりだった。が、それ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
歴とてもなく、知友にも乏しかったかれは、いつでも孤立のほかはなかった。生まれつき
ひ弱で、勝気ではあっても強気なところが見えない。世間に出てからは他に押され気味で....
「火の扉」より 著者:岸田国士
わゆる農村のにおいをそれほど身につけず、そうかといつて、都会育ちのインテリという
ひ弱さもなく、どこかガムシャラな一面と、知的なひらめきとを併せそなえた、わりに複....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
る。いま逃げだしたりしたら、遠慮なく撃たれるだろう。 美しすぎる面ざしをした、
ひ弱い青年が、胸から血をだして死んでいく光景を見るのは、ありがたいというようなこ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
森の家を嗣いでから祖母を迎えましたが、最初に出来た長子が夭折し、次に生れた長女は
ひ弱くて心細かったのでしょう、その頃|石見国美濃郡に高橋|魯庵という人があって、....
「アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
の草木のなかで一ばんみじめな、だれにも相手にされないような小さな草でありました。
ひ弱な、色つやのないはい草で、厚ぼったいしなびた葉をつけていました。この草には別....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
う、暖かさが耐えられない。この執拗な生命の糧を、だれに分け与えればよいのだろう。
ひ弱な魂はそっとあたりを見廻している。――足りないものはないのだ。皆が満足しきっ....