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への字
「への字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
への字の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
と言う太い声。箱のような仕切戸《しきりど》から、眉の迫った、頬の膨《ふく》れた、
への字の口して、小鼻の筋から頤《おとがい》へかけて、べたりと薄髯《うすひげ》の生....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
」 と、他の一人が鎌をかけて訊いた。 「犯人はまだ決定しとらん」 課長は口を
への字に曲げていった。 「法医学教室で訊くと被害者の血は一滴も残っていなかったそ....
「海底大陸」より 著者:海野十三
の耳もとに口を近づけて、なにごとかをボソボソささやいた。船長のくちびるがグッと、
への字にまがるのを船客たちは見のがさなかった。なにか一大事らしい。船底から水がも....
「春昼」より 著者:泉鏡花
を垂々と垂らしながら、占た! とばかり、やにわに対手の玉将を引掴むと、大きな口を
への字形に結んで見ていた赭ら顔で、脊高の、胸の大きい禅門が、鉄梃のような親指で、....
「断層顔」より 著者:海野十三
けで、さっぱり収穫はないじゃないですか」 「君はそう思うかね」老探偵は唇をぐっと
への字に曲げた。「私はいろいろと新しいことを知った」 「え、新しいことをですか。....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
モを持って立ちあがり、しずかに事務机のうえにおいた。このとき帆村の唇が、ぎゅっと
への字にまがった。それはこの名探偵が、何かある重大なる手がかりをつかんだときにす....
「金属人間」より 著者:海野十三
らしい白い実験衣《じっけんい》をひっかけている。 紫色の大きなくちびるをぐっと
への字にむすんで、お三根《みね》の死体をじろりと見たが、べつにおどろいたようでも....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
がお酒を呑んでいらしたかどうか、あたくしには分りかねます」 傍聴の帆村が、唇を
への字にぎゅっと曲げた。わが意を得たりという笑い方を、彼一流の表現に変えたのであ....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
その旆の下に、見晴らしのいい桟敷があって、醤主席は、幕僚を後にしたがえ、口を
への字に結んでいた。 この望楼の前には、百万を数える人造人間が、林のように立っ....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
に考えていると思ったので、僕はそれを訊いた。フランケは両手を揉みながら、一旦口を
への字に曲げて、 「火星においてだろうね」 といったが、そういった後で、彼は自....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
に小さく見えるほど、頭も顔も大の悪僧の、鼻が扁く、口が、例の喰しばった可恐しい、
への字形でなく、唇を下から上へ、
への字を反対に掬って、 「むふッ。」 ニタリと....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
生が、「その隙に、すいとんか、おでんを売れ。」「ははっ。」とこそは荷高似内、口を
への字に頤の下まで結んで鼻を一すすり、無念の思入で畳をすごすごと退る処は、旧派の....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
して円顔で、眉の濃い、目の柔和な男が、道の向うさがりに大きな塵塚に対しつつ、口を
への字|形に結んで泰然として、胡坐で細工盤に向っていた。「少々拝見を、」と云って....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
見ぬように見て釣込まれて肩で呼吸。 思出したように急がしく掻込んで、手拭の端で
への字に皺を刻んだ口の端をぐいと拭き、差置いた箸も持直さず、腕を組んで傾いていた....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
そこに、てらてらの長火鉢。 「誰方でございますえッて聞いたら、何にもいわないで、
への字|形の口で、へへへへはちと気障だったよ、あああ。」 と傍の茶棚の上へ、出....