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アイロン
「アイロン〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
アイロンの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夢」より 著者:芥川竜之介
た。硝子戸《ガラスど》を立てた洗濯屋の店にはシャツ一枚になった職人が二人せっせと
アイロンを動かしていた。わたしは格別急がずに店先の硝子戸をあけようとした。が、い....
「車中有感」より 著者:上村松園
ろきおどろき眸を※ってしまったのである。 この姉妹は、額のところに、少しばかり
アイロンをかけて、髪を渦巻にしているほか、あとはすらりと項のところへ、黒髪を垂ら....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
堆かく一山になっていた。 『何時ごろ?』『四時半ごろ。』『火許は何処?』『富田の
アイロン場。』――と、誰が誰に話すのか解らぬが其処此処で聞えた。中には百遍も繰返....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
表情というものは、心理のズボンに出来た生活の皺だ。一行の説明はズボンの皺を伸ばす
アイロンの役目をするだろうが、言葉の
アイロンに頼っても、目に立たぬ細かい皺は残っ....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
」と。ジョウがいいました。 「ねえ、あたしのハンケチいいでしょう。ハンナが洗って
アイロンをかけてくれたのよ。マークはあたしがつけたの。」とベスは、ぬいとりの文字....
「城」より 著者:カフカフランツ
かけるように、と命じた。彼女自身は一枚のシャツをかかっている紐から取って、それに
アイロンをかけるために下の台所へ急いで降りていった。
そこでKは、ふたたび無言....
「母の話」より 著者:岸田国士
のために活気づき、潤いが生じた。母は、ストーヴや鍋や、ナイフやフォークや、布巾や
アイロンや、そういうものに生命を吹きこみ、話をさせる術を心得ていた。つまり彼女は....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
る時は厳罰に処すとか何んとか云って否応なしに切らせたらしい。芸者などはその断髪へ
アイロンをかけてモシャモシャに縮らせているが普通の女はそんなことはせず只油で艶々....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
がない事は甚だ遺憾な事であった。一時間の後には人手に渡るべき一枚の五円紙幣に電気
アイロンをあてて見る気にはなれない。 しかしその老人は全くの無慾の状態において....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
自分たちには見えない遠い処の存在だと思っていたのに、毎日一緒にパラシュートの布に
アイロンをかけて働いていた太田であることが分ると、皆はその意外さに吃驚《びっくり....
「決闘」より 著者:神西清
のも、その索然味においてなんら択ぶところはないのさ。これは断言するよ。相も変らぬ
アイロンの匂い、白粉の匂い、色んな薬の匂い、来る朝も来る朝も例の捲髪紙、相も変ら....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
物のタネを洗って見ればすぐにわかる。 靴下は二度染め。シャツは洗い返しで、糊と
アイロンが巧妙に利いている。硝子《ガラス》の水晶、鉛やアルミの鍍金《めっき》鎖な....
「善蔵を思う」より 著者:太宰治
歩くと、僕は活動の弁士みたいに見える。もう、よごれて、用いられない。」 「けさ、
アイロンを掛けて置きましたの。紺絣には、あのほうが似合うでしょう。」 家内には....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
言って、のろのろしている職人に声をかけたが、夜おそくまで廻っているミシンの響や、
アイロンの音が、自分の腕一つで動いていると思うと、お島は限りない歓喜と矜《ほこり....
「浅間噴火口」より 著者:豊島与志雄
にあたりちらした。 だが、話はそれきりになり、外套は結局、正枝の手で泥を払われ
アイロンまでかけられて、李に渡された。 その時、李はひどく神妙な様子で、今後は....