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「インク壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

インク壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
いたのもことごとく空威張《からいば》りになってしまう。保吉はたちまち机に向うと、インク壺へペンを突《つっ》こむが早いか、試験用紙のフウルス・カップへ一気に弔辞を....
槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
なのやら小さなのやら、みかげ石のまばゆいばかりに日に反射したのやら、赤みを帯びたインク壺《つぼ》のような形のやら、直八面体の角ばったのやら、ゆがんだ球のようなま....
かのように」より 著者:森鴎外
け》のへりや書棚のふちを彩って、卓《テエブル》の上に幅の広い、明るい帯をなして、インク壺《つぼ》を光らせたり、床に敷いてある絨氈《じゅうたん》の空想的な花模様に....
ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
上から押える手が弛《ゆる》む。僕はようよう跳ね起きて逃げ出した。その時書物の包とインク壺とをさらって来たのは、我ながら敏捷《びんしょう》であったと思った。僕はそ....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
で庸之助の使っていた机上に、並べられてある遺留品を眺めていた。使いかけの赤、黒のインク壺、硯、その他|塵紙《ちりがみ》や古雑誌のゴタゴタしている真中に、黒く足跡....
燃ゆる頬」より 著者:堀辰雄
の上には誰のものともつかず、白筋のはいった制帽とか、辞書とか、ノオトブックとか、インク壺《つぼ》とか、煙草の袋とか、それらのものがごっちゃになって積まれてあった....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ユリのバカと少しは癇癪もおこったのでしょう? ここからインクをつけて書いているインク壺。初めて小説を書いたとき父のくれたインク壺。茶色。 きょう、お母さん....
白い朝」より 著者:豊島与志雄
形と、箪笥の横の鏡台とだけが、女らしいもので、そのほかは、粗末な本箱や机や灰皿やインク壺や柱掛の暦《こよみ》など、男の下宿部屋みたいです。 もっとも、芝田さん....
冬の王」より 著者:森鴎外
いるのである。書いている紙は大判である。その側には厚い書物が開けてある。卓の上のインク壺の背後には、例の大きい黒猫が蹲って眠っている。エルリングが肩の上には、例....
鉄の規律」より 著者:平林初之輔
おいてあるきりだ。通りに面した窓の左寄りに書物《かきもの》机があって、その上にはインク壺とペンとがのっている。机の前には、回転椅子が一つそなえつけてある。その他....
審判」より 著者:カフカフランツ
ないはずだった。ベッドの枕もとには壁の中にくぼみがあって、そこには、一本の蝋燭、インク壺、ペンおよび訴訟文書らしい一束の紙が、ひどくきちんと置いてあった。 「女....