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カビ
「カビ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
カビの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
するとその男は大股《おおまた》で葉子とすれすれになるまで近づいて来て、
「船室《
カビン》ならば永田《ながた》さんからのお話もありましたし、おひとり旅のようでした....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
にも陰気な集りに過ぎなかった。 締め切った窓に蜘蛛の巣が張り、埃の積った畳に青
カビの生えたような空室が数を増すにつれて、赤沢医師の気持も隠しきれない焦燥に満た....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
倉は奥の一間でしきりに書物の手入をしていた。何でも久しく抛って置いたので、書物に
カビが生えたと云って揮発油を綿に浸ましてせっせと拭いていたのだった。 「所が可笑....
「海底都市」より 著者:海野十三
しょうか」 「そうですね」カスミ女史は目をぱちぱちさせていたが、 「実は私の夫の
カビ博士は考古学者なんです。話をしてみたら、あるいはあなたが欲しいというかもしれ....
「恐竜島」より 著者:海野十三
ドの島影が見えはじめるはずだった。それが見えれば、本船は、その尖端《せんたん》の
カビエンの町を左に見つつ南方へ針路をまげ、そして島ぞいにラボール港まで下っていく....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
に不自由しないので、スッカリ忘れてしまって、印度洋で思い出してあけて見たら一寸程
カビが生えて、のび上っていたよ。まっくろけだ。印度洋へ水葬にしてやった。 十二....
「男女関係について」より 著者:大杉栄
何にも自分から吹聴して歩くほどの一大事でもないのだ。また自由恋愛などという、もう
カビの生えた古臭い議論を、今さらながらもったいらしく担ぎ出すこともないのだ。 ....
「河霧」より 著者:国木田独歩
なこつこつした体格であった。 この老人がその小さな丸い目を杉の杜の薄暗い陰でビ
カビカ輝らせて、黙って立っているのを見るとだれも薄気味の悪い老翁だと思う、それが....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
けで、何となく暗く、床まき香水を思わせるよい草の匂いなどはおろか、うかうかすれば
カビの香りでもしそうである。 隅にある安手な机と書棚、新子の荷物が部屋の真中に....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
私が非常に恩恵に浴して有難いと思っているのは、DDTとペニシリン及びその一族の青
カビ薬である。 終戦直後、歯の劇痛に二ヶ月というもの苦しめられて、氷で冷やしな....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
が足り無いようにわたくし思いますわ」 もちろん夫人はジョージアン式の旧い邸宅の
カビ臭さには尚更幾つもの But を続けた結果この新式を招致して見たのだ。それで....
「デンマークのビール」より 著者:北大路魯山人
も、日本のキリンよりうまい。 アメリカに来ている日本のビールは、かん詰のアメリ
カビール程度にまずい。ここにおいて、ビールもまた新鮮を尊ぶことを知りました。アメ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
イギリスにおける宗教改革は、単に宗教上だけの事件ではない。それは社会的な事件でもあった。中世紀精神の
カビが払い落とされると同時に、それにむすびついた革命が、同様の完成度と同様の深達....
「古事記」より 著者:太安万侶
し》が芽《め》を出して來るような勢いの物によつて御出現になつた神樣は、ウマシアシ
カビヒコヂの神といい、次にアメノトコタチの神といいました。この方々《かたがた》も....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
たのだ? なぜおれの気持があの人に通じないのだ? あの飾り気たっぷりの言い回し、
カビの生えた女大学式な考え、世の中を滅ぼすものとかなんとかいう、愚にもつかない屁....