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クッション
「クッション〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
クッションの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
煙らせている。保吉は何かほっとしながら、二三人しか乗客のいないのを幸い、長ながと
クッションの上に仰向《あおむ》けになった。するとたちまち思い出したのは本郷《ほん....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ひじ》かけ椅子は黒ずんだ縁側《えんがわ》に並んでいた。が、それ等は腰の高い、赤い
クッションの色の褪《さ》めた半世紀前の古椅子だった。信輔はこの二脚の椅子に全中流....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
なかったという。畠はやわらかいから、爆発してもその爆風は土壌の圧縮によって相当の
クッションになるらしい。 ◯護国寺裏の町に爆弾が落ちて、壕内に入れておいた二歳と....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
例の私立探偵帆村荘六に外ならなかった。 「ねえ帆村さん」もう一つの声が、隅ッ子の
クッションから聞こえた。大きな図体の男、それは戸波博士の用心棒だった筈の山名山太....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
の、一番冷静だった。 第三の犠牲者は三浦糸子と云った。可なり上背のある婦人で、
クッションのように軟くて弾力のある肉付の所有者だった。銃丸は心臓の丁度真上にあた....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ゅうございますが……へへえ、お楽しみで……」 「フフン、気の毒だネ」 深々した
クッションの中に抱かれるように身体を埋めた僕は、その夜の散歩コースのことを考えた....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
ひどい荒れで、雨は横なぐりに円タクの窓に打ちつけた。そのしぶきを浴びて、座席の
クッションまでしっとりと湿ってきた。私は運転台と座席の間に洋傘を広げて立てかけ、....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
ん、お願いします……」 怪我人はそう云って、もうこれ以上|喋れないと云う風に、
クッションへぐったりと転って、口を開け、眼を細くした。 紳士は大きく頷いて見せ....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
体験的な言葉で語った。すると友達はその感情に関係ある的確な文学的表現を紹介した。
クッションというなら全部
クッションだ。 羽根布団というなら全部羽根布団だ。 だが....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
帰ったベルベットのソファは、一つ一つの肘に金線の房がついていた。スプリングの深い
クッションへ規矩男は鷹揚な腰の掛け方をした。今夜規矩男は上質の薩摩絣の羽織と着物....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
雨の澪の砂に滴る音を聴いていると夢まぼろしのように大きな美しい五感|交融の世界が
クッションのように浮んで来て身辺をとり囲む。私の心はそこに沈み込んでしばらくうと....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
る神龕には、金色のランプがともっていた。色のあせたふっくらした椅子と柔らかそうな
クッションを置いた長椅子が、陰気ではあるがいかにも調和よく、部屋の中に二つずつ並....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ような調子で、彼は訊いた。 「いいえ、何も見ませんでした」 彼の頭は、ふたたび
クッションの上に沈んだ。 「いや、いや、望遠鏡を持ってはいなかったろうか」と、彼....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
んだんに悲しみの色になり、眼には涙を宿して、のちには寝台の上に身を投げ出して絹の
クッションに身を隠すように俯伏した。 彼女は部屋の中のものが増したり、変わった....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
かせる気持で、運転手に命じた。多鶴子は佐古の言った行先に安心したさまで、はじめて
クッションの奥へ体をずらした。そして車が動き出すと、習慣でコンパクトをちらと覗い....